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第294回 エッチなオーラが出ている。そして……


 催淫CDの中身は催眠誘導である。聴いた女の子がエクスタシーを感じるように僕が誘導している――と、ここまではこれまでも書いてきた。

 もともとはカセットテープのかたちで、A面に吉田かずおさんによる催眠のレッスン的な内容、B面に僕のセックス・イマジネーションを収めた。ただ、僕のパートも吉田さんの指導のもとである。このカセットテープは東芝EMIから発売されてロングセラーになった。

 のちに、B面をアレンジして現場用の催淫テープを作った。変更箇所はいくつかあるが、最大の違いは終わり方である。市販のものは10カウントで催眠からスッキリ覚める。ところが現場用は、欲情したままだ。つまり、スッキリではなく、それこそ「目の前にいる男だったら誰もいいから、とにかくしたい!」という状態を維持したまま現実に戻している。

 当時、僕はうつで、目の前の女の子を説得するだけのエネルギーもなかったから、とりあえずこれを聴かせて、いやらしいところだけを撮っていこうと思った。女の子の深奥を探ろうというのではなく、ちょっと気取ってたりカッコつけてる女が催淫テープを聴けば淫乱になってしまう、そのギャップを見たかったのだ。

 僕の試みは半ば成功したと言えるだろう。このシリーズに何度か出演している森林原人がその感想をこんなふうに語っている。




 催淫テープ(CD)を聴いて淫乱になった女の子は、そういうオーラを出している。だから、その場にいる男優も女の子のエッチオーラに共鳴してしまうのだ。でも裏を返せば、他の現場で女の子たちはエッチオーラを出さないまま、セックスしているということになる。オーラがなければ男優も自ら勃たせておかなければならない。

 話を戻すと、最初は軽い気持ちで始めたシリーズだったが、催淫テープ(CD)を聴いた女の子から出てきたのはエッチオーラばかりではなかった。過去のトラウマがまるで堰(せき)を切ったように溢れ出してきたのである。考えてみれば当然のことだった。トランス状態に入ったとき、過去も現在も未来も境界線がなくなり、その中でいちばん印象的なものがドーンと表に出てくる。

 結局、僕は彼女たちと向き合わないわけにはいかなくなった。そしてそれを通して見えてきたのは、人は日頃いかに本当の自分を見せていないかということだった。それは他人ばかりでなく、自分自身に対しても、である。

 みんなが一度あのCDを聴くといいのになぁと僕は思っている。そうすると、たとえば「本当の自分はどう思っているのか?」「今いったい何をしたいのか?」「このイライラはどこから来ているのか?」等々、その根っこを知ることになる。そして、自分を縛っているものから自由になれるはずである。CDを聴いたひとりの主婦(40歳)の言葉が印象的だった。

 「そんなに気をつかわなくていいんだよとか言われてる気がするんですよね。ラクになっていいよって……」






Aito-sei-long

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