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第54回 抵抗する女(3)

 「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ 11 働く女子の知られざる秘部」の現場では、冒頭、弓月ひかりに催淫CDを聴かせてみた。ひかりは露(あらわ)になった下半身をカメラの前にさらし、腰を使いはじめた。

 それを見ていた虹野加奈も、パンティの中に指を滑り込ませ、次にはバイブを手に取り、中に突き立てる。こうした風景はこのシリーズでは頻繁に出てくる。催淫CDを聴いている者とその姿を見ている者との間にチャネリングが起こっているケースが多いのだが、今回の加奈について言えばチャネリングのように見えて、そうではない。

 加奈が感じているのは、彼女が毎朝毎晩欠かさずしているオナニーと同じ類(たぐい)のものだ。加奈にとってセックスとはオナニーのための"おかず"だと以前書いたが、いま催淫CDで感じているひかりの姿もまた、妄想のための"おかず"に過ぎない。

 チャネリングでは物理的な刺激を必要としないが、加奈は先に自分の下半身を触りはじめている。「妄想」と「肉体への刺激」。つまり、彼女は「頭」と「下半身」でイッているのであって、その間にある「心」はまったく介在していない。さらに言えば、「下半身」も「頭」の管理下に置かれている。

 「心」が介在しないとは、感情が封印されているということだ。ゆえに、いつも自己完結なのである。絵柄的には肉感的だし、男を興奮させることだろう。しかし実際につきあってみれば、男のほうが「もう勘弁」となってしまう。彼女自身も「男に逃げられちゃうのよ」と言っている。それはそうだ。欲望は底なしで、つながり感はない。そのうえ男に対する思いやりすら感じられないのだから......。

 では、男はどうあれ、加奈自身は満足しているのかといえば、満足はしていない。それは100人を超える体験人数を見ても明らかだろう。心を閉じているかぎり、言い方を換えれば感情が満たされないかぎり、満足できないのが人間という生き物である。下の表は、加奈の撮影前と撮影後の各オクターヴの変化だが、残念ながら何も変化はなかったと言わざるを得ない。


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 次に、弓月ひかりはどうであったか? 今回の撮影で、男優は銀次、片山、トニーの3人をキャスティングした。トニーと一緒に仕事をするのは今回が初めてだった。彼がどんな男優なのか、見てみなければわかないというのもあり、最も対応がラクであろう、ひかりの横にいるように指示しておいた。

 ひかりは積極的に性の悦びを知りたいと思っているし、おそらく彼女とトニーのペアが真っ先にセックスを始めるだろうと僕は読んでいた。それが導火線になっていけばいいなぁと。

 現場では読みどおりになった。ただし、いまどきのエッチ好きの女の子であるひかりには、あらかじめ彼女なりのアダルトビデオ像というものがあって、「あれをやってみたいし、これもやってみたい」と思っていた。それに対して「それは違うよ」と僕は言っていない。なぜなら、僕の興味の対象は富永美沙に絞り込まれていたからである。

 一方、ひかりとペアを組んだトニーもガンガン突くだけのセックスで、まぐわいにはなっていない。だから、ひかりの各オクターヴも1つずつ上がっているのみである。セックスの片寄った知識にとらわれていた思考オクターヴは「H48」、つまりノン・フィルターで物事を見られるまでには解放されたが、「H24」における知性の開花は起きなかった。

 また、セックスにおいてきわめて重要な感情オクターヴも「H48」で止まり、感性センターが機能するには至らなかった。これは思考オクターヴが感情の解放を許さなかった結果だろう。


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 ということで、残るは問題の富永美沙だ。冒頭で、ひかりが催淫CDを聴いて感じ、それを見ながら加奈がオナニーしている間も、美沙はじっと座ったままその光景をながめていた。僕が「どう?」と訊くと、「わかんない。不思議......」とだけ答えた。

 少し間を置いて、「あそこにバイブがあるよ。当ててみな」と言ってみたが、「やってみたいと思うけど、怖い」だった。「パンティを見せてみな」と言うと、抵抗する。アダルトビデオに自ら応募し出演しておきながら、パンティすら見せたがらない女の子はそうそういない。

 翌日になって、加奈が催淫CDでよがり、ひかりがトニーと始めても、相変わらず美沙はじっとながめている。銀次が近づくと、逃げるように座る場所を移動していき、部屋の隅っこで行き止まると、かたわらのスツールを抱え込んだ。

 これでは何も始まらないので、男優たちが美沙を部屋の中央に連れ出す。銀次が体に触れたとたん、美沙は悲鳴をあげた。でも、銀次は美沙の目を見つめたまま、視線をまったく外さない。銀次が股間を舐めはじめると、美沙は「ダメダメ、おしっこ出るから、ヤダ!」と叫ぶ。感じてきて、自分を明け渡せない子は、よく「おしっこが出そう」と言う。美沙はずっとそれを叫びつづけた。

 正常位で男が上からかぶさっているとき、感じてきた女は、その頭が持ち上がってきて二人の顔が近づく形と、逆に女の背骨が弓なりに反って二人の顔が離れていく形がある。この2つの形のうち、下半身の結合のみならず心もつながっているのは前者だ。

 美沙は銀次としているとき、頭がグーッと持ち上がってきて、銀次の首に腕が掛かる。いい形なのである。それでも美沙は「おしっこ出る!」を叫んでいる。すると銀次は「いいんだって、そんなこと。気にするな」と美沙の目を見つめながらつぶやく。美沙は「かかるから、ヤダ!」とだだをこねる。「じゃあ、出せよ。飲んでやるよ、オレが」とやさしく包み込むように言うのだった。「目を見てごらん」。美沙が目を見る。「気持ちいいよなぁ」。「うん、気持ちいい......」。

 おそらく幼い頃から受け入れられず、人とつながる術を知らなかった、そんな美沙の中にある固まった感情(依存排他)が、銀次の心によってひとつずつ溶けていくのを、僕はファインダー越しに見ていた。

 最後に、正常位の銀次が終わったあと、「抜いてもいいかな?」と美沙に訊ねる。すると美沙はハニカミながら「じゃあ、握っててもいいですか?」と銀次の目を覗き込む。自分を表現することが大の苦手だった彼女が、自分の思いを照れながらも自然と口にできた瞬間だった。きっと銀次はうれしかったはずである。そして彼のそんな思いを、美沙もまた受け取ったに違いない。



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テーマ : 日記
ジャンル : アダルト

第53回 抵抗する女(2)

 僕が焦点を当てようと思ったのは、富永美沙(22歳)だった。

 監督面接において、虹野加奈(30歳)はなんでも受け入れてしまうし、抵抗がないと同時に引っかかりもなかった。淡々としていて、つかみどころがないのだ。面接中、加奈はほとんど僕の目を見ない。

 「ちょっと感度テストするから」と言って、加奈に呼吸法をさせてみた。トランスに誘導して、以前このブログにも書いた〈握った手のひらが膣になる〉をやった。すると、気持ちよがるものの、それでもこちらの目を見ようとしない。「オレの目を見て」と言うと、チラリとこちらを見るが、ものの2、3秒で自分の世界に逃げ込んでしまう。反応はものすごくいい。でも、僕とつながっていない。自分の中で妄想のセックスをしているだけなのだ。


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 弓月ひかり(23歳)も、なかなか目を見るということをしない。言えば見る。加奈よりはいくらかいいという感じだ。「ふだん、どんなセックスをしてる? なんで目を見ないの?」と訊くと「私、いつも真っ暗な所でしてるから」と言う。

 「じゃあ、次にプライベートで彼とセックスするとき、相手の顔がわかる明るさの中で、目を見てしてごらん」と注文をつけた。後日、撮影現場で会ったとき、ひかりは「初めて彼の目を見たとき、愛しいと思った」と話してくれた。

 この子は気持ちよくなりたいというか、抵抗がないので、非常に積極的に性の悦びを知りたいと思っている。そんな彼女のワクワク感がこちらにも伝わってくる。現場では、やはりこの子がいちばんラクだろうなぁと思った。


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 富永美沙も、監督面接で上の2人と同じように、呼吸法でトランスに誘導した。そこで目を見ると、美沙はしっかりこちらを見る。でも感じてくると、「おしっこ出そうだからイヤッ!」と抵抗が激しい。

 しかし、この子がいちばん感情が向き合っていると僕は感じた。なぜなら、抵抗があるということは、可能性というか取っ掛かりがまだ残されていると思ったからだ。

 とはいえ、その抵抗たるや半端ではなく、これまで僕が出会った女の子のなかでも珍しいくらいの度合いである。なぜ美沙はこんなにまで抵抗するのだろうか? 彼女の中のいったい何がそうさせているのだろう?

 美沙と話をしながら、この子は幼児期に親から受け入れてもらってなかったのではないだろうかと僕は思った。「私、こうしたい」と親に言っても「それはダメ」というように、くり返し拒絶されてきたのではないか。僕が仕事で出会う女の子たちに、そういう子は多い。すると、その子は受け入れてもらえなかった悲しみや切なさや怒りを自分の心の深奥に溜め込んでいく。

 でも、表面上の印象からは溜め込んだその感情が見えないことが多い。にもかかわらず、たとえば失恋とか、裏切りとか、あるいは自分の愛する人が亡くなるとか、そういった心に大きなダメージを与える出来事が突発すれば、それまで溜め込んでいた感情が一気に噴き出し、人格が乖離(かいり)してしまうこともあるように思える。

 美沙は顔立ちからも一見ウブに見えるが、前回も書いたように元彼としていたのは、目隠し、緊縛、ムチ、ロウソク、アナルセックス......。これが5年間くり返されていた。しかもこの元彼とのセックスしか、美沙は知らない。これはセックスというより虐待みたいなものである。

 もし彼女が幼児期に親から受け入れてもらえなかったとすれば、それはセックスにおいて服従を求める男とつきあってしまうことと無関係ではないように思われた。

 それにしても、なぜ美沙は5年間もつきあってしまったのだろうか? そういえば、彼女が「人間嫌いだ」と言っていたことを僕は思い出していた。「感情表現が下手で、人と深くつきあいたくはない」とも。

 人間はだれもが"つながり感"を求めている。だれかとつながっているという実感さえあれば、どんなにつらい出来事があったとしても、人は自殺を思いとどまれるかもしれない。

 美沙は人とつながる術というかレッスンを、幼児期からしてこなかったように見える。虐待まがいのセックスを求める彼と5年間つきあったのも、虐待の痛みを快感に置き換え、たとえ服従してでもつながり感を持とうとしたのではなかったか。

 「人と深くつきあいたくない!」「だれかとつながっていたい!」――そんな相矛盾する美沙の心の叫びが、僕には聴こえたような気がした。下に掲載した美沙のオクターヴ表の中の「感情オクターヴ」は「依存排他」を示している。「依存」と「排他」という、まさに真逆(まぎゃく)の感情が発露を求めて臨界点に達しているのが今の美沙なのだ。


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 「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ 11」の現場を通して、果たして美沙の「感情オクターヴ」はどのような変容を遂げるのだろうか?

テーマ : 日記
ジャンル : アダルト

第52回 抵抗する女(1)

 女たちは日常の顔の裏側に、みんな性の悩みを隠し持っている。今回出演した女の子は、実は職場であなたの隣にいる女性なのかもしれない......。

 上の文章は、今年の大晦日にリリースされる「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ 11 働く女子の知られざる秘部」のパッケージに載せたボディコピーである。この作品には3人の女性が出演しているが、おそらく外見から彼女たちの性の秘部を想像できる人はほとんどいないだろう。

 それぞれどんな女性なのかを年齢順に紹介していこう。

 いちばん年上の虹野加奈(30歳)は、調剤薬局に勤務している。見た目もしっかりしていて、安心して仕事を任せられそうなタイプである。そんな彼女の初体験は18歳で、以来、男性体験は100人を超える。

オナニーは小学校2年から現在までほぼ毎日。小学校4年のときに栄養ドリンクのビンを膣の中に入れたくなり、実際に入れてみた。膣の中の気持ちよさも知り、それ以降オナニーのバリエーションが増えた。

 最近は毎朝、ベッドの中での5分から10分のオナニーから一日が始まる。夜は30分から1時間をかけ、犯される妄想にひたるオナニーをして眠りにつく。オナニーをしないと眠れない。

 たとえば電車の中で気に入った感じの男がいると、その人と頭の中でセックスをする。欲情を抑えられないときには、駅のトイレでオナニーをしてしまう。オチンチンが大きいというのが頭にあるだけで、セックスが楽しくなる。

でも、彼女にとってそのセックスとはあくまでも前菜であり、オナニーがメインディッシュになっているという"妄想族"の女性である。

 2番目の弓月ひかり(23歳)は、ショッピングセンターの管理事務員をしている。初体験は15歳のとき、相手は今の彼。彼とは8年間つきあっていることになるが、その間の男性体験は15人。今もセフレが1人いる。

オナニーは毎日しており、2回する日もある。彼女もレイプや痴漢を想像している。マイ・ローターも持っている。毎日しているということは、彼女もまた、セックスした日にオナニーしているということだ。

先に紹介した虹野加奈にとってのセックスは、いわばオナニーのための"おかず"だったわけだが、ひかりが毎日するのは、セックスとオナニーは"別腹"だからのようである。

 ひかりに「AVに何を期待しているのか?」と訊いてみた。「AVを見ると、気持ちよさそうに潮を吹いているので、私も一度体験したい。複数セックスの経験がないので、3Pもしてみたい」という答えが返ってきた。具体的には「フェラをしながら、バックで突かれるようなの」がしたいそうである。

 最後3番目の富永美沙(22歳)は、割烹料理店に勤務している。初体験は15歳で、ひかりと同じだ。しかし、男性体験は1人。つまりその人だけである。彼とは2年前に別れている。セフレもいないし、オナニーもしないという。

 彼女の出演動機は「セックスのよさがよくわからない。AVに出れば何かつかめるのではないか」ということだった。唯一の男である元彼とのセックスについて聞いて、僕は驚いた。目隠し、緊縛、ムチ、ロウソク、アナル......なのだそうだ。彼女にとっては、これがセックスなのである。

 さらに聞けば、人間嫌いだという。人と深くつきあいたくないとも。自分の気持ちや感情を表現することが苦手なようだ。そんな彼女が自分に自信を持てるのは、着物を着ているときだという。勤めている割烹料理店では和服を着てるわけだが、私生活でも着物姿で街を歩くと、みんなからの視線を浴び、自分が本来の自分でいられるということらしい。

 1人目は「セックスよりオナニーがいい」と言う女。2人目は「セックスとオナニーは別だ」と言う女。3人目は「オナニーはしない」と言う女。

 撮影前の監督面接にて、以上の情報を手に入れた僕は、さてどうしたものか......と考えていた。3人に共通しているのは、生身の男と向き合えないでいることだ。でも、本当はみんな、ぬくもりが欲しくて、もがいているようにも見える。

 僕は1人の子に焦点を当てようと思った。あとの2人はあまりいじらないで、ありのままを見せていこう。おそらく現場では、彼女が一番てこずることになるだろう。だが同時に、彼女には「恋愛ができる可能性」を最も感じていたのだった。

 それが誰なのかは、次回くわしく書くことにする。



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テーマ : 日記
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第51回 面接軍団に学ぶ「男のセックス」

 12月21日にリリースされる「ザ・面接 VOL.112 本気汁フェスティバル 肉食系女の時代です」を題材にしながら、今回は男優とそのセックスについて書いてみたい。

 「ザ・面接」シリーズにおいて、男優たちが最も真剣な顔つきをするのは、出番を決めるクジ引きのときである。きょうセックスするであろう女性が、このクジの番号によって決まってしまうのだ。やってくる女性に関する知識はまったく与えられないまま、初対面である彼女たちの心の中に入っていき、見る人の期待に応えられる見せ場を作らなければならない。

 みんな「1番」は引きたくない。なんといっても、オープニングは場の空気が重いし、まだなにも始まっていないから場を読むこともできない。毎回出ている男優たちでも、また同じシリーズといえども、場の雰囲気や展開は回ごとに異なる。

 それにひきかえ「3番」は、だれもが狙う番号である。いわゆるトリなので、いちばんいい女が面接にやってくることを男優たちは経験上知っている。

 おみくじに例えれば「1番」が凶、「3番」が吉といったところだが、おみくじならば凶を引いたからといって、実害が及んだという話はあまり聞かない。要は気分の問題であり、それさえも自分の中でポジティブに人はとらえ直したりする。ところが「ザ・面接」のクジ引きは気分では済まされない。待っているのは、まぎれもない現実なのだから。

 今回、その「1番」を引いてしまったのは、森林原人と二村ヒトシだった。では、相手の女性はどんな人なのか? 簡単に紹介しておこう。

 山下ゆかり(24歳)。1歳の子どもがいる主婦である。元自衛官(4年間勤務)であり、現在はアパレル関連の会社でパートをしている。夫も含めて男性体験は5人だが、全員自衛官。オナニーでイメージするのは、夫の長期出張中に元彼の自衛官を呼んで自宅でした浮気だそうだ。余談だが、男も女もいけないことが好きなんだなぁとつくづく思う。

 さて、男優に話を戻すと、二村は意を決して、自分と森林のどちらを選ぶか、ゆかりに迫った。結果、ゆかりは二村を選ぶ。ところが行為の最中、ゆかりは「痛いっ!」をくり返し、二村は何度か中折れした。

 ゆかりが痛がったのも、二村が中折れしたのも、原因はひとつである。面接にやってくる女性をあの手この手で剥いてゆき、彼女たちの素のセックスを見たい、たとえ瞬間であっても相手と心を通わせたいと思うのは、男優も僕も同じだ。ここ何回か「瞬間恋愛」に重きを置いている理由もここにある。「ゆかり、ゆかり!」と何度も名前を呼びながら、二村が相手とつながろうとしているのはよくわかった。だが、ゆかりは二村に心を開いてはいなかった。



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二村は心を開いていたが......


 いったんカメラを止めてから、僕は彼女に訊いた。「あれだけ名前を呼んでいるのに、なんで君は一度も呼んであげないの?」。ゆかりは「好きな人」とだけ言う。「それ、どういう意味?」と重ねて訊くと、「ダンナ以外の好きな人」と彼女は答えた。そのとたん、審査員たちがざわついた。「えーっ、それはないよぉ」「それじゃあ、可哀想だよ」「おカネ欲しくて来てるのに、好きな人と出られるわけじゃないんだから」......。

 つまり、ゆかりは不倫相手に操(みさお)を立てて、心を開かなかったというわけだ。休憩時間、男優たちの話題は山下ゆかりで終始した。「あんな女はAVに出ないでほしいよなぁ。傷つくんだよ、男は」。心を伴わない型だけを見せる"仕事"なら、相手が心を開かずとも男優は傷ついたりしない。しかし、男優以前の、素の男として相手に向き合ったときには、彼らも傷ついてしまうのである。感情を閉じたセックスは男優のペニスをも萎えさせ、それを見る人も決して欲情したり感動することはないというのを証明したような一人目だった。

 仮にだが、もしもあなたがセックスの最中にくり返し中折れしてしまうようなことがあれば、相手の心が本当にあなたに向かっているのかどうかを一度チェックしてみる必要があるかもしれない。「結果を知るのが怖い」とは言うなかれ。結果を知っても知らなくても、おそらく相手の心が変わることはなく、なまじ「もうオレも歳だなぁ」なんて自己催眠を入れて落ち込んでいたら、あなたの輝きはどんどん失われてしまうだろう。

 次に「2番」を引いたのは、吉村卓と鈴木一徹だった。

 やってきたのは、白咲ココ(20歳)。昼は実家の美容室を手伝い、夜はキャバクラで働いている。現在、彼はいないが、28歳と41歳のセフレがいるという。僕は、ココが放つ柔らかなオーラから育ちのよさを感じていた。

 男優たちは、隊長の市原が出演動機やプライベートの性生活を聞き出している短い時間に、女のストライクゾーンを見つけ出さなければならない。一徹がまだスタンスを決めかねている間に、卓は迷いなくココに語りかけ、その太腿に手を這わす。このあたりにキャリアの差を感じる。

 なすがままのココに「好き勝手されちゃうぞ」と僕は振ってみた。ココは「好きにされたい......」と言う。どうやら3Pを望んでいるようだ。

 先に挿入したのは一徹だったが、途中で萎えてしまう。一徹はスポーツで汗を流すとかして、本能センターを鍛える必要がある。体を使って汗を流した翌朝は、朝勃ちの硬さが違うはずだ。

 余裕の卓がバックから攻め、正常位で決めた。一徹が再び挑戦するが、途中からテンションが落ちていくのがわかる。ファインダーの中の一徹がイコうイコうと頑張ってしまっているのが見えるのだ。中折れも時間の問題だなと思っていると、森林が一徹の肩を叩きながら割って入る。一徹を救う絶妙のタイミング。そして、よどみなく流れるようなセックスを見せる。いつもそうだが、森林のセックスは撮っていて心地よい。介入は彼自身の判断だったのか、隊長の指示だったのか......。



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一徹は再度挑戦するが......


 先の二村も、一徹も、頭がよく思考オクターヴ系の人間だ。思考系の場合、自分から感情を出すのが不得手である。相手の女の子が本能系や感情系だったり、心から欲情してくればいいセックスができる。でも、そうでない場合は中折れもしやすい。それに対して銀次や森林は、たとえ相手が心を開かなくても、中に入ってこじ開けていこうとする。その技を持たないと、相手が思考系で、なおかつ欲情していない場合はなかなか難しい。

 トリの「3番」を引いたのは、平本一穂と佐川銀次である。

 彼らが面接するのは、管野しずか(21歳)。今年4月離婚。3歳の子どもがいる。男性体験は元夫を入れても3人。きっと彼女は感情のこもったいいセックスをするだろうなぁと僕は予測していた。

 ベテラン男優の2人は阿吽(あうん)の呼吸で、しずかの本性を白日のもとにさらす。「オマンコにください。はい、そこです。そこがいいです。オチンチン、気持ちいいです」。女の内面に入り込む技に磨きのかかった銀次は、相変わらず見せてくれる。やはりこのあたりは体験から来るものだろう。具体的には、ぜひ映像で確認していただきたい。攻められるしずかのM女ぶりが、審査員たちの視線を釘づけにする。

 「銀次さん、いいです。銀次さん、もっといっぱい突いてください。気持ちいいです」。この言葉は熟女を思わせる。とても21歳とは思えない。さすが子どもを産んだ女は、言葉からも生々しさが伝わってくる。

 しずかは何度もヤマを迎えた。ここは銀次の真骨頂である。しずかは涙を流しながらイッた。まさに"目合(まぐわ)い"だった。女たちが心を開くのは、なにも巨根ゆえではない。感情のこもった銀次とのセックスは、審査員たちの股間を濡らすのには充分だった。



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これぞセックスという銀次のまぐわい


 審査員の3人が順番を決めて、片山邦生に乗っかる。片山はタマと乳首を同時に攻められると、固まってしまうという特性を持っている。ときに失神状態にさえ陥ることもある。得意技のターボダッシュなど、攻めに強い彼は、同時に人一倍敏感な体質の持ち主なのだ。「気持ちよかったら、声を出してあえげよ。そうしたら固まらなくてすむんだよ!」と僕は事あるごとに言うのだが、片山は決してM男になろうとはしない。


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固まりそうな片山


 一方、二村は審査員の1人から騎乗位で攻められ、「レンちゃん、イクーっ! レンちゃん、レンちゃん!」を連呼しながら女の下で果てた。見ていて実に気持ちがよさそうだった。男も女の名を呼びながら、M男になってイクというのは、やってみる価値がある。

 平本も審査員の1人につかまり、翻弄(ほんろう)され、女にイカされてしまったというようなイキ方だった。平本のイキ方はダイナミックで、見ていて心地いい。男の声など邪魔になるという理由で、もともとAVにおいて男優はイクときに声を出したりしなかった。でも、平本はガマンできずに声を出した。今でこそ男優が声を出しても驚かれないが、そこは平本の影響が大きかっただろうと僕は思う。彼のイキッぷりは男たちの手本である。

 片隅では、一徹がまた別の審査員といいセックスをしていた。心から欲情した女とのセックスでは、一徹も中折れしない。

 このように作品の後半では、審査員たちが肉食系女のセックスの凄さを見せてくれたが、あえて男優にフォーカスをあて「男にとってのセックス」を主題に書いてみた。参考になれば幸いである。

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