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第277回 近親相姦

 前回からのつづきである。実の父親からの性的な虐待――しかし、本当にあったことなのか、そういう夢を見ただけなのか、はっきりしないと彼女が言う。いつごろのことかと訊くと、たぶん小学校の低学年からだったと。

 呼吸法と年齢退行で、彼女をその時間に戻すことはできる。もし性的な虐待を受けていたのなら、彼女はそれを追体験することになる。つらくないはずはない。ただし、そこを確認しないことには、そこからの解放もない。

 「ザ・面接」の監督面接と現場を通して、彼女は僕を信頼してくれていた。やってみると言う。「あなたは追体験しながら、それをしゃべることができます」という誘導で、いよいよ彼女は“起きていること”を語り出した。

 「洋服を脱がしてきた」。「パンツも脱がしてきた」。彼女の頬を涙が流れ落ちる。「上に跨ってきた。オチンチンが私のお股に……」。「お股でこすって、もうすぐ中に入っちゃう!」。「あったかい」。「イヤなんだけど」。「すごいお父さんの呼吸が荒い」。「オチンチンが中に入ってくる!」。

 トランスから覚めたあとも、彼女は泣いていた。もはや曖昧な夢などではなく、確信に変わったのだ。「最初、すごい怖くて、でもやっぱりなんか感じちゃってる。頭のどっかで、最初はいけないことしてるって、すごい思ったんだけど、だんだん気持ちよくなって……」。多少落ち着きを取り戻してから、彼女はこんなことも言った。「若いんですよぉ」。当時、父親は30代。今の彼女よりも年下なのだ。

 また、別の記憶もよみがえった。ずいぶんあとになってから、母親にこの件を打ち明けたという。「バカなこと言ってんじゃないわよ。そんなこと、あるわけないじゃない。人に言うんじゃないよ」ということで終わったらしい。それ以降、彼女は誰にも話さなくなり、自分の記憶にも鍵をかけた。

 彼女に限らず、性的虐待はなかなか本人が話したがらない。だから発覚しないケースが多いが、僕がこれまで出会った女の子たちのなかには、父親からされていたという子が少なからずいる。義父もいれば、実父も。彼女たちと信頼関係が築けたとき、ぽつりぽつりとそれを語ってくれる。そしてよくよく聞いてみると、どこかで「自分が悪い子だから」と思っていたりするのである。

 当然ながら、子どもに非などあろうはずがない。父親のほうが壊れているのだ。彼らの傾向としては、年齢的に子どもが自己主張しないうちに行為におよぶ。しかも、ほとんどの場合、子どもの反応を見ながら徐々にエスカレートしてゆく。最初は布団に入ってきてちょっとさわるとか、風呂場で洗うふりをしながら指を入れてきたりとか。いずれにせよ、面と向かって抵抗されたら、できないのだろう。

 だが、なぜ彼らは自分の子どもに手を出せるのだろうか。女の子たちから話を聞く機会はあっても、父親に関するデータが僕にはない。なので、推測するしかない。

 アメリカでは性犯罪が多発しているといわれるけれど、性犯罪者たちのなかには人並みはずれて性欲が強い人間がいるそうだ。近親相姦する父親も、性欲が異常に強いのだろうか。だから、娘をやるのか。しかし、それならば女房と励めばいいのだし、仮にそうじゃなくても、ほかに選択肢があるはずだ。

 やはり、彼らは大人になりきれてないのだろう。本能が育っていないのだ。それは本能が成熟すべき時期、つまり幼児期に原因があるように思える。彼らもまた自分の親から虐待(性的とは限らない)や育児放棄などを受けていたのではないだろうか。本能は、生じた「不快」を親の愛情による「快」で中和されることによって成熟していく。

 話を彼女に戻そう。監督面接で催淫CDを聴いてもらったときから、彼女は心に何かを閉じ込めているように見えた。年齢退行から戻ったとき、彼女自身が言っているように、父親から強要されたセックスを何割かは受け入れている。でも、そんなことは人には絶対言えないし、この「言えないこと」「いけないこと」というのが、セックスになると彼女のエネルギーパターンとして無意識の世界で働く。だから、肉体の快感はあっても、心の歓びが起きない。

 であれば、彼女のエネルギーパターンを変えてしまうのが、いちばん早い。セックスとは「言えないこと」「いけないこと」という既成概念を書き換える。そのためには、まず彼女の中に「したい!」という状態を作っておき、その欲情を維持したまま、もう一度“父との時間”へ年齢退行させてゆく。ここで間違えば、彼女の傷をさらに広げてしまう。父親になりきった男優が強引にセックスを迫るのだから、僕にとっても真剣勝負である。

 結果、彼女がどうなったのかは、「ようこそ催淫世界へ19 近親相姦」(9月下旬リリース予定)で確認していただけるとありがたい。



(「週刊代々木忠」は夏休みをいただきます。みなさんに次にお目にかかるのは9月5日(金)になります)





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8月7日(木)、全40タイトルに増えました!


第276回 閉じ込めていた記憶

 ちょっと前の話になるが、僕は「ザ・面接 VOL.139」の編集をしながら、「この子、やっぱりイキきれてないよなぁ。なんでオレはもっとレクチャーしっかりやらなかったかなぁ」と一人つぶやいていた。

 彼女は43歳。3年前に離婚している。理由はダンナさんの浮気。現在、セフレが1人いる。プロデューサーの資料を読むと「セックスでイケる(中でイケる)」と本人は言っていたようだ。けれども、監督面接で彼女から直接話を聞いてみると、いや、イッてないんじゃないかなぁと僕は思った。

 それを確かめるべく、呼吸法から入って、催淫CDを聴いてもらう。聴いているときの彼女は、けっこうせつなそうで、感じる姿も色っぽい。だが、言葉があまり出てこなかった。体は気持ちよくなっているのに、心は何かを閉じ込めているように見える。それがイケない原因だろうか……。

 「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」ならば、ここがとば口になって「何か嫌なことあった?」と切り込んでいくのだけれど、今回は「ザ・面接」だ。大人数だし、彼女のイケない原因を探ることがテーマではない。なので、これ以上は掘り下げなかったのだ。ちょっと不安は残るものの、一方では、現場に行けばなんとかなるだろうという思いもあった。

 現場では、まず銀次が彼女に行く。彼女のセックスはいやらしいのだけれど、イッていない。そのあと時間をおいて、片山が行く。映像の中ではわずかしか映っていないが、実際には上になったり下になったり、えんえんとやっている。彼女がイカないから終わらないのである。

 この作品では、年齢的にも彼女が見せ場になってくれたらいいなぁという期待があった。ところが、見てくれた人ならおわかりだろうが、関西出身の若手の2人に持っていかれてしまった感じだ。現場では予期せぬことが起こるわけだから、まぁ、これはこれでいいのだが……。しかし、銀次と片山があれだけ時間をかけてやりながらイケないというのは、なんでだろうなぁという疑問は依然としてある。そして僕としては、やはり悔しい。

 そこで「ようこそ催淫世界へ」でもう一度、彼女を撮ってみようと思った。千葉の別荘に行って、まず彼女が出ている「ザ・面接」の映像を見せた。「イッてないよね? 感じようとはしてるんだよね」と訊くと、「そうかもしれないです」と彼女。あれから他のメーカーでも何本か出たようなので、そこでのセックスも訊いてみた。「イキそうになったことはあるんですけど、実際にはイッてないです。プライベートでも……」。

 監督面接で初めて会ったとき、彼女が心に閉じ込めているように見えたものの正体とは何だろう? それがわかれば、打つ手はあるはずだ。過去にいったい何があったのだ? 彼女の心を傷つけるような。

 「幼児期に何かあったんじゃないの? よかったら話してよ」と僕は切り出した。一拍おいてから「父親ですね」と彼女が言う。彼女曰く、監督面接のとき、僕の話に感じるところがあったようで、すぐに僕の本を買って読み、このブログも一気に読んだそうだ。そして読み進めていくうちに、父親からされたことがおぼろげながらよみがえってきたという。ただし、それは曖昧で、現実にそういうことがあったのか、そういう夢を見たのか、まだ判然としないと。

 僕は呼吸法と年齢退行で、それを確かめることにした。


(つづく)





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