週刊代々木忠
いまこの瞬間の代々木忠の想いが綴られる
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第157回 「つながる」
10年ぶりに本を出すことになった。タイトルは『つながる』。どんな内容なのかを一言で伝えるのはなかなか難しい。なので、この本の「はじめに」の文章をそのまま掲載しようと思う。
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恋愛できない女の子が増えている。つきあっている彼がいないというケースばかりでなく、セックスフレンドはいても恋人がいない、あるいは、恋愛だと思っているものが実際には「依存」である場合も少なくない。
私の作品に登場するのは名のあるAV女優ではなく、ほとんどが普通の学生やOL、主婦たちである。アダルトビデオを撮って30年になるが、これまで5000人以上の女性たちを1人当たり2時間、長いときには6時間かけて面接してきた。最初は心の扉を固く閉ざしている子も、その扉が開けば溜め込んだ本音や悩みが溢れ出してくる。
彼女たちの悩みを聞いていると、問題の本質は根深く、とても厄介なものに思える。ちょうど20年前に上梓した拙著『プラトニック・アニマル』では、オーガズムについて言及したものの、今は男も女もオーガズムからいっそう遠い所まで来てしまった感が強い。
セックスレス、草食系男子、膣トレ、ED……マスコミを賑わす性に関する事象だが、これらは「恋愛できない女の子が増えている」ことと、問題の根っこは同じであるように見える。そして、それは単なるテクニックや対症療法では解決しないのではないかと思うのだ。
これまで女性たちの話を聞き、現場で試行錯誤しながらつかんだ、私なりの解決のヒントをここに記そうと思う。それは人が人と「つながる」ための理論と方法である。
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この本は、祥伝社から3月5日発売予定である。読んでもらえたらうれしい。
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2012-02-24(00:00) :
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第156回 第2回ロフトイベント
今年もバレンタインデーに素敵なチョコレートと手作りの本をいただいた。このブログ(ライブドア版やFC2版)にも、これまでいろいろなコメントを寄せていただいた。そして【勝手に広報】と称してこのブログを毎回 twitter で告知してくれている人がいる。
正直、言葉にできないくらい僕は感謝している。ブログを始めてから毎週金曜日がやってくるのが早い。いつも四苦八苦しつつ、それでもなんとか3年続けてこられたのは、そういう人たちや読んでくれている人たちがいるからこそだ。いただいたコメントに対しては返事をかえしたいと思ってはいるけれど、生来の怠け者ゆえ、思いだけでなかなか実現しない。
昨年イベントをした際、ロフトの責任者からは「ぜひ2回目を」と言ってもらった。ロフトHPのスケジュール表にはけっこう空欄があるので、まだ大丈夫だろうと思っていたら、「未定」となっていても実は予約で埋まっており、なぜか3月12日(月)だけが空いていた。
さて、イベントの中身をどうしようかと考えたとき、アテナのスタッフからもいくつかの案が出たけれど、東日本大震災からまる1年と1日。やはりチャリティーで行きたいと僕は思った。このところ「ザ・面接」ではファンの人たちにいろいろ心配をかけているから、面接軍団にもまた登場してもらいたい。
前回はチャリティーオークションを行なったが、さて今回どうしようかと決めかねていたら、「ザ・面接」の撮影があった2月5日、面接軍団に「おまえら、社会貢献せえ!」という市原隊長のひと言で、やはり今回もやろうと決めた。ただし、何がオークションに出品されるかは当日のお楽しみである。きっと軍団も今ごろ探しているだろう。
アテナのHPに
〈第2回 東日本大震災チャリティーイベント 代々木忠+面接軍団「みんな、つながろう!」〉
の詳細がアップされているので、そちらもご覧いただきたい。いろいろな思いがつまった今回のイベントである。日頃、お会いできない皆さんのお顔を拝見したいと思っている。そして今回は先約があって……という方、きっと機会はまた巡ってくるだろう。
このイベントに関して、もうひとつお伝えしたいことがある。ゲストの早坂ありえ氏は「愛と性の相談室」でもスピリチュアル・カウンセラーとして女性の相談に乗ってもらっている。市原隊長がアメブロで「霊能者 VS 面接軍団。勝てるはずないやん!」と書いていたが、確かに軍団の前世や守護霊を早坂さんに見てもらえば盛り上がるだろうと思っている。
それはそれでぜひやりたいのだが、それとは別に早坂氏には、チャリティーイベントということもあり、東日本大震災で大切なご家族が行方不明になり、今なお安否がわからない方についても会場で見てもらえないかと思っている。たとえ〈見えない世界〉の話でも、自分の愛する子が、親が、夫が、妻が今どうしているのか、僕だったら知りたいと思ったからだ。
スピリチュアル・カウンセラーに見てほしいという方は、3月12日(月)イベント会場まで来ていただくのが条件になるけれど、アテナHP内〈東日本大震災で行方不明のご家族を探している方へ〉のページをお読みいただきたい。
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2012-02-17(00:00) :
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第155回 知的な彼女が会いにきた訳
先日
「愛と性の相談室」
の悩み相談で会ったのは、大学院に通う30代前半の女性だった。話を聞けば、毎日、自宅と研究室の往復で、帰宅すればだいたい10分以内には寝てしまうという。このまま研究者としての道を進むのか、それとも恋愛や結婚を経て家庭をつくる方向に進むのか、その岐路に差しかかり彼女は迷っていた。
仕事と家庭を両立させている女性もたくさんいるはずだが、彼女の場合は、今の生活を続けているかぎり恋愛や結婚のチャンスはないと考えているようだ。同じ学校内には対象となる男性もいない。みんな研究に没頭していて、とても恋愛どころじゃないみたいなのだ。
知的レベルの高い女性で、彼女と同じような悩みを抱えている人に最近よく出会う。高学歴で社会的にも認められる立場におり、今後も食いっぱぐれがなさそうなのに、本人たちは今のままで本当にいいのかと揺れ動いている。
今回の相談者である大学院の彼女にも、僕なりのアドバイスというか、いくつかの話はしたのだけれど、これまでの相談者たちとはちょっと異なる印象を受けた。岐路での迷いは事実なのだろうが、今回来た本当の目的はどこか違うところにあるんじゃないかと感じたのだ。
僕が撮影用のカメラを止めると、彼女は自分の研究テーマについて語りはじめた。
脳神経を研究しているプロジェクトチームが大学院の中にあって、彼女はそのメンバーの一人だった。プロジェクトの中で、彼女が取り組んでいるのは自閉症だという。このブログで僕が「ミラーニューロン」について書いたのを彼女は読み、なんでAVの監督が「ミラーニューロン」なのかと関心を持ったみたいなのだ。
自閉症はミラーニューロンの機能不全から起きるという説を、僕はたまたま本で読んでいたから、彼女の話はとても興味深かった。彼女によれば、自閉症の子は見れば5秒でわかるという。たとえば、ガラガラという赤ちゃん向けのオモチャがあるが、子どもの前でガラガラを振ると、ふつうは振っている人の顔を見る。ところが、自閉症の子はガラガラのほうに目が行く。同様に「こんにちは」と声をかけても、かけた人の顔は見ずに、後ろの壁を見ていたりするのだそうだ。
つづけて彼女は「監督はセックスで目を見ることの大切さをくり返し言っていらっしゃるけれど、自閉症の子の場合もアイコンタクトが取れるようになって初めてコミュニケーションが可能になるんです」と言った。「ああ、そういうことなんだ」と僕は思った。セックスに限らず、目を閉じたり、開いていても別のものを見ているということは、感情を閉ざしているのと同じなのだ。
「今は知識偏重社会になって、自分自身の脳で何かを確認するというよりも、多くの人が、外から入れられたデータで動く機械人間になっているように見える。そうすると使わない筋肉と同様に、ミラーニューロンもだんだん退化していくんじゃないかって、ブログに書いたんだけど、どう思う?」と最後に彼女に訊いてみた。彼女はこう答えた。「断定はできないけれど、それは考えられますよね」。
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2012-02-10(00:00) :
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第154回 僕たちは人間か? 機械か?
A 「人々はみな機械だ。外からの影響だけで動いている機械なのだ。彼らは機械として生まれ、機械として死ぬ。野蛮人だろうが、知識人だろうが関係ない」
B 「人間は機械であることをやめることはできるのですか」
A 「それにはまず機械を知る必要がある。機械が自分を知れば、それはもう機械ではない。少なくとも、以前のような機械ではなく、すでに自分の行動に責任をもちはじめている」
B 「人間は自分の行動に責任をとっていないということですか」
A 「人間は責任をとる。機械が責任をとらないのだ」
政治にしても経済にしても、報道されるニュースを見れば、自分の意思がどこにあるのか疑いたくなる人たちや、責任などさらさら取るつもりがなさそうな人たちが、毎日これでもかっていうくらい登場してくる。それはニュースの主人公たちばかりでなく、僕たちの日常をふり返ってみても、「機械」と化した人間を見つけるのはそんなに難しいことではない。
ところで、冒頭に引用した文章は誰と誰のやりとりなのかというと、「A」はロシアの思想家G.I.グルジェフ、「B」はその弟子にあたるP.D.ウスペンスキー(P.D.ウスペンスキー著『奇蹟を求めて』〈浅井雅志訳、平河出版社刊〉より抜粋)。これは今から約100年前に交わされた会話である。100年前といえば、ほとんどすべての人が生まれる前だ。そのときからグルジェフは「人々はみな機械だ」と断言している。
生まれたときから「機械人間」の社会ができていたとすれば、外部からの知識や情報をインプットしなければ動けない人間が育つのも致し方ない。そこには主体的な行動が伴わないから、体験を通しての実感もない。それは情報を発信している側も同様で、自分の体験からものを言っているわけではない。寄せ集めの情報や、頭の中だけで構築した机上の空論、もっといえば根拠そのものが怪しい情報も罷(まか)り通っている。現代人が生きるうえでぶつかる多くの悩みの深層は、こんなところにあるのかもしれない。
撮影現場で、僕は女の子はもちろんのこと男優にも、「こうしてくれ」という指示はほとんど出さない。自発的に起きてくることを撮りたいからである。本人にゆだねてしまうと抵抗が起きたりするけれど、それはそれで面白い。抵抗が葛藤として、いっそういやらしさを醸し出す場合もあるし、人間はこんな反応をするんだという新たな発見もある。僕が撮りたいのは「機械のカラミ」ではなく「人間のセックス」なのだ。
アダルトビデオを初めてから、僕はずっとそんな撮り方をしている。「ぶっつけ本番」「出たとこ勝負」は現場のみならず、僕の生き方そのものでもある。したがって、失敗も数え上げれば切りがない。だが、痛い思いをしたぶん、僕のような人間でさえ身をもって何かを学ぶことにはなる。もしも自分への自信があるとすれば、僕にとっては体験を通して得たものくらいしかない。それは外部から入れた知識や情報ではないからだ。
とかく現代人は考え、そして悩むことが多いけれど、自分の心に忠実になり考えないまま行動を起こしてみるのも、たまにはいいものだ。きっと責任はしっかり取らされるだろうが、それは「人間」にしかできないことなのだから。
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2012-02-03(00:00) :
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