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第267回 なぜAVに出たいのか?

 女性がアダルトビデオに出たいと思う動機はさまざまだ。この半年間のプロデューサーの面接資料では、こんな具合である(242名対象、複数回答あり)。

 まずは少数派の動機から。「浮気をした夫への仕返し(1名)」「花嫁修業としてセックスが上手くなりたい(1名)」「裁判費用のため(1名)」。残念ながら、どんな裁判なのかはわからない。

 これらより少し増える動機としては「スカウトされて何となく(5名)」「若いときからAVに出たかった(9名)」「有名になりたい(9名)」「ふだんの生活に刺激がないので(12名)」「自分を変えたい(13名)」。

 さらに増えると「(ネイルサロンやエステサロンなど)自分の店を持ちたいから(24名)」「海外旅行の資金として(27名)」「学費として(30名)」「借金の返済(33名)」「貯金したい(35名)」「一人暮らしや引っ越しの費用として(38名)」。ここはどれもお金にまつわる動機が占める。

 そしてダントツが「セックスに興味がある(173名)」。アダルトビデオに出たいのだから、当たり前といえば当たり前なんだけど、彼女たちの現状を読んでいくと“不自由している”のが見えてくる。

 彼がしないとか、ダンナがしないとか……。要はセックスレスなのだが、お互いにする気が失せたんじゃなくて、「私はしたいけど、相手がしてくれない」というケースが非常に多い。男たちは何やってんだ!?っていう話なのである。

 前々回のブログで「快」の話を書いた。今は快を得る手段が多岐にわたって存在している。だから、本来ならばセックスで満たされるべき快も、違う方法で中和される環境ができあがっているのだ。

 だが、これは男たちに限った話ではない。実際、男も女もセックスをしなくなる傾向にはあるものの、監督面接や撮影現場、愛と性の相談室などで直接話を聞いてみると、男の側に顕著に現われているように見える。なぜだろう?

 ひと言でいえば、それは女が強くなったからだと僕は思う。強い女に男は欲情しない。以前、「ザ・面接」の現場でこんなことがあった。白昼のオフィスで面接に来た女性を男優たちが犯していた頃の作品である。

 面接中に片山が主婦(37歳)からいきなりビンタを張られた。こうすれば男が歓ぶと勘違いしているようだ。夫とは別居中。「とんでもないのが来たなぁ」と市原。片山は引いてしまっているので、卓に「犯せや!」と催促するが、卓も行こうとはしない。こうして亭主も逃げたんだろうか……。

 主婦にお引き取りねがったあとで、僕は片山に「なんでヤラなかった?」と訊いた。力ずくで彼女を組み伏せていたら、ひょっとしたら何かが起きたかもしれない。片山が答える。「自分が犯そうとするときに、ふつうは恐怖心とか抱かないじゃないですか。気持ちがビビッてるっていうか、そうなったらもう犯せないです」。

 この主婦は極端なケースだが、オスはメスより優位に立ったときに欲情するのだと思う。言い方を換えれば、強いメスの前で、オスはオスが出せない。女性たちが急に弱くなるとも思えない。日本男児よ、これからどうする?

 脳幹を鍛えて強いオスを取り戻すか? M男くんに徹してメスの前でヨガるか?






Aito-sei-long

第266回 テゲテゲ

 友人のひとりに働き者の元ヤクザがいる。アスベストを落としに行ったり、福島第一の仕事に出かけたりしている。彼いわく「今ベテランはほとんどいないのよ。だいたい3カ月くらいで(放射線の)許容量を超えてしまうから、そうなると仕事を1年あけなくちゃいけない。それに(別の原発の)再稼働がらみの仕事のほうが、いろんな意味でオイシイらしい。最近の福島は素人ばっかでヤバいよ」。

 50代だが、根がまじめで義理人情に厚い、昔のヤクザの匂いがする男だ。そんな彼が飲み屋を開業した。そろそろ老後のことを考えたのかもしれない。最初に聞いたときは半分冗談かと思ったけれど、もともとラーメン屋だったところを居抜きで借りて、自分で改装したという。

 店の名は「テゲテゲ」。彼は沖縄離島の出身だが、九州の方言で「いい加減な」という意味らしい。「もともとオレはいい加減だから」と言う。「気が向いたときしか(店を)やらんから」と。そんなんで潰れないのかと、ちょっと心配になる。せっかくお客さんが来てくれても閉まってたり、いつ開いてるかわかんないんじゃ、それこそ二度と来てくれないというのが世の常じゃないのか……。

 共通の友人3人と顔を出してみた。カウンター中心の店だが、そのカウンターや壁は、板を自分で焼いてこすって木目を出している。こだわりは内装にとどまらず、調理はガスでなく炭を使っている。料理は薩摩地鶏の網焼きやたたき、故郷沖縄の豆腐ようやポーク玉子、馬刺しや牛スジ豆腐などなど。素材にこだわり、なおかつ何でも自分でやってきた男の料理はなるほど旨い。

 とはいえ、お客さんのほとんどは地元の人、それも年配の人たちだろうと思いきや、意外にも若者たちが多いのだという。音大に通う女の子やレーシングチームのメカニック、映画の脚本家たちが彼と話しにやってくる。いろいろ苦労をしているだけに、今の若い人たちが聞くと、いい話なのかもしれない。しかも、乱暴な話をするかと思えば、しんみりした話も受け止めてくれる。きっと若者たちがこれまで出会ったことがないタイプの大人なのだ。

 しかも、シンプルな性格の彼には裏表がなく、そのうえいい加減でわがままときているから、お客さんも地が出せて、くつろげるのだろう。「この前、計算もしてなかったんで『もう1000円ずつでいいよ』って言ったら、『それじゃあ悪いから』と3000円ずつ置いてったんだよね」とか、「こっちも飲んでたら眠くなっちゃって、お客さんほったらかして奥で寝ちゃったのよ。起きたら、もう誰もいないんだけど、ちゃんと片づけてお代も置いて帰ってくれて……」とか、テゲテゲぶりは枚挙にいとまがない。

 店に来る若い女の子からは「孫がいるんでしょ?」と言われているようだ。確かにいてもおかしくない雰囲気を漂わせている。「オレは結婚したことは一度もねえ」って言うと「えー!?」って驚かれるのだと。彼には男の色気がある。言い換えれば、オスの匂いがするのだ。きっとそれは沖縄の離島という自然や習俗の中で育まれたものだろう。

 むろん女が嫌いなわけではない。これまで惚れた女もいたはずだ。では、なぜこの歳まで独身を通したのか? 直接訊いたことはないけれど、ヤクザもんというだけで結婚はなかなか難しい面もある。それに彼の中にも「いつ死ぬかわかんねえし……」という思いがあったのかもしれない。

 自分の好きなように生きてきた彼の人生は充実しているように見える。彼自身おそらく後悔はあるまい。自分の本当にやりたいことよりも将来のリスクを気にし、世間に合わせて、そこから現在を選択するような生き方をしている若者を見ると「もっとテゲテゲでもいいじゃないの」とつい僕は思ってしまう。





Aito-sei-long

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第265回 人を生かしているもの

 「あなたは何のために生きていますか?」と問われれば、ある人は仕事のやりがいを答えるかもしれないし、またある人は熱中している趣味について語るかもしれない。乳飲み児を抱えた母親ならば「この子のため」と言うだろうか。なかには、直截に「食べるため」とか「女とヤルため」と言ってのける人もいるだろう。

 このように生きる目的や意義は、その人の経験や境遇、能力や価値観、指向性や感受性等々によって、さまざまである。だが、たとえそれらが千差万別だったとしても、すべからく人間は「快」によって生かされているのだと僕は思っている。

 いい仕事ができたという達成感は快だし、それによってお客さんが歓んでくれたのも快だ。功名心がくすぐられるのも快なら、収入が増えるのも快。自分の好きな趣味に時間を忘れるのは快だし、趣味の仲間たちと語り合うのも快だ。幼いわが子の可愛い笑顔や安らかな寝顔は快以外の何ものでもない。食欲を満たすのもしかり、性欲もしかり。

 快は本能に属している。だから、先にあげたような例ばかりとは限らない。社会性のモノサシであるところの善悪や正邪はなく、快は快なのだ。たとえば麻薬や窃盗や暴力行為なども、やっている本人はそのとき快を得ているはずである。もちろん、だからいいという話ではない。麻薬や窃盗や暴力ならば、なぜいけないのかを説明する必要すらないが、次にあげる3つのケースはどうだろう。

 【ケース1】好きな仕事で、それこそ寝食も忘れて、ずっと同じ姿勢のままデスクワークに打ち込んでいる。疲労は溜まりに溜まっているものの、集中しているときにはまったく気にならない。納期へのプレッシャーはある。でも、最終的には自分がやりたいからやっているんだと思う。こんな生活続けていたら長生きできないなと思うこともあるけれど、充実感はハンパない。

 【ケース2】スマホのオンラインゲームにハマッている。今や5000億市場だというから、私のような人間はたくさんいると思う。会社への行き帰り、電車の中ではもちろんのこと、家や会社でも……。仕事でもプライベートでもストレスが多い。それをゲームで発散して明日に備える。オンラインゲームは現代人の常備薬だと思う。

 【ケース3】アダルトビデオを見てオナニーにふける。セックスよりも、快感という面だけで量れば、刺激を自在にコントロールできるオナニーのほうがずっと気持ちいい。ときには風俗に行くこともある。風俗では自分が横になって、女の子からいろいろしてもらうのが好きだ。べつに誰にも迷惑はかけていない。

 さて、どうだろう。3つとも快だ。法律にも抵触していない。であれば、どう生きようが、その人の自由である。僕が「ゲームは時間を決めてやりましょう」とか「オナニーはほどほどにしましょう」と言うのはヘンだ。

 しかし、気になることが1つだけある。それはどのケースも、体を動かし汗を流してはいないということ。「なんだ、そんなことか」と思う人もいるかもしれない。日頃、体を動かす習慣のない人ほど、きっとそう思うだろう。これは自ら体験してみないと効果がなかなか伝わらないものだが、人間の体はもともと動かすようにできている。そして体こそが何をやるにしても土台になるのだ。どうせ得るなら、体にいい快を!




Aito-sei-long

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第264回 続・突発性難聴

 右耳の治る確率が五分五分に毛の生えた程度なら、ステロイド治療はやっぱりいやだ。「先生、ほかに方法はないんですかね?」とダメ元で訊いてはみたものの、やっぱりないのだろう。

 と思ったら、「どうしてもということでしたら、内服薬を飲みながら、通院という方法もあります」という答え。そっちのほうがいい。「確率的にはずいぶん落ちます。治る保証はできませんよ」と言われたが、入院してもどっちみち60%なんだからと、僕は通院を選んだ。

 処方された内服薬は全部で4種類。結局、そのうちの1つはステロイドなのだ。でも、これくらいの量ならばナーバスになる必要もないだろう。ほかはビタミンB12を補うもの、代謝を促進するもの、そして胃薬。ステロイドの錠剤は朝2錠、昼2錠をまず4日間服用(晩に飲まないのは眠れなくなるからだ)。そして次の4日間は朝昼1錠ずつ、次は朝1錠のみと半分ずつ減ってゆく。

 ステロイドを飲むと気分が明るくなるというか、パワフルになる。場合によっては自分で自分をコントロールできないくらいに。「何かあったら、すぐに来てください」と医者が言う。執拗に入院を勧めるのも、ステロイドの大量投与は管理下でやりたいからだろうな……そんな印象を僕は持った。

 ところが、薬を飲んで通院しても、目に見えて(いや、耳に聞こえてと言うべきか)効果がない。「確率的にはずいぶん落ちます。治る保証はできませんよ」という言葉どおりなのである。

 話は変わるが、理想的な骨格になれば病気もしないと聞き、かれこれ9年間、週に1回、骨格矯正のための力学療法を受けている。力学療法の権威であるH先生は歯科医を開業しており、施術は歯科治療室を通り抜けたところにある部屋で行なっている。じつは突発性難聴で総合病院に通院を始めた週も、H先生のところには来ているのだが、あわただしそうだし、直接関係ないかと思って、耳の件は言わなかった。

 翌週、何気なく「先生、オレ、右の耳がいきなり聞こえなくなっちゃったんですよ」と言ったら、「ああ、頸椎のズレだよ!」と簡単に言われた。西洋医学的に言うと、突発性難聴の原因は特定されていない。でも、まぁ力学療法の見地からすればそうなるのだろうと僕は思った。

 H先生がいつもより念入りに股関節を施術してくれる。「今どこに来る? 首に来なかったかい?」。「いや、このへんに来ました」と僕は胸の裏側を指さす。「ああ、わかった」といろいろ股関節を調整してくれるなかで、今度は胸の裏側に加えて、首にもピッと反応があった。僕はとっさに聞こえる左耳を手の平でふさいだ。隣の治療室で歯を削る音が聞こえる。左耳と比べれば、音は小さいし、実際よりも高い音だ。でも、突発性難聴になってから初めて右耳で聞く音だった。「先生! 来た! 来た!」思わず僕は大きな声をあげていた。

 通院している総合病院では毎週、聴力検査を受けている。1回目と2回目は数値に変化はなかったが、H先生の施術で聞こえるようになってから、数値も上がってきている。「だいぶ回復してきましたね。このまま行くといいですね」と主治医が言う。

 この病院に来た理由は、聴神経腫瘍があるかどうかをMRIで調べてもらうためだった。肝心のMRIはずっと予約で埋まっており、僕が検査してもらえるのは5月31日。大きな病院ではよくある話だ。だが、腫瘍の可能性はもうないだろうと僕自身は思っている。

 現在、右耳は7割がた回復した。ちょっと音が割れたり、風が吹いているような音はしているけれど、距離感や方向はもうだいたいわかる。なので、かりにこれ以上よくならなかったとしても、さほど不自由はしない。ひと昔前なら、年をとれば耳は遠くなるもので、ほとんどの人がそれを当たり前に受け入れていた。「悪口だけは聞こえるんだから……」という笑い話もあちこちで聞かれたものだ。

 年を重ねれば、人間あちこちにガタが来る。僕はまだ好きな仕事を続けていられる。欲を言えばきりがないのである。






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第263回 突発性難聴

 かれこれ1カ月になるが「ザ・面接VOL.139」の撮影前夜、右耳がとつぜん聞こえなくなった。明日は現場だというのに、こりゃ、まいったなぁと思った。

 そういえば1年半前にも夜自宅でテレビをつけたら、言葉が言葉として認識できないくらい音が割れて聞こえたことがある。そのときはかなり焦った。でもこの時間じゃもう病院はやってないし、救急車でもないだろうし……。明日病院に行こうと思って寝たら、翌朝には治っていた。

 あのときは両耳の音割れ。今回は片耳だけが聞こえない。どっちがいいという話じゃないけれど、前回同様、一晩寝れば治るかもしれない。そんな淡い期待、いや、切実な期待を抱きつつ、眠りに就いた。

 朝、目が覚める。どうだ、耳は? 右耳はやっぱり聞こえない。で、「ザ・面接」の現場はといえば、前後左右の音が混ぜこぜになって左耳だけから聞こえる。当たり前だけど。そうすると、実際にはどっちの方向で誰がしゃべっているのかがわからない。

 「ザ・面接」は2台のカメラで撮っている。とはいえ、助監督のサブカメラは、基本的にエキストラの表情だけを追いかけている。なので、同時多発的に起きるセックスは、僕のカメラ1台でカバーしないといけない。もちろん目でも確認しながら撮ってるのだが、耳って凄いなぁ……と今回まざまざと思い知らされた。

 そして片耳だと話し声も聞きづらい。あるシーンで大阪の女の子が言った言葉を、僕は「今なに言うたん?」と聞き直している。カメラの内蔵マイクはしっかり拾っていたものの、僕には聞こえなかったのだ。

 編集作業も左耳だけで進めた。どうしても聞き取れない箇所は、隣のデスクの助監督に「ちょっと悪い。これ、なんて言ってる?」と代わりに聞いてもらいながら。現場が手さぐり状態だったから、ちゃんと撮れてるか不安だったが、編集してみて、これなら大丈夫だなと思った。

 でも、右耳は聞こえないままだ。そのうち治るだろうと思いながら、1日、2日、3日……と過ぎてゆく。助監督から「ネットで調べたんですけど、原因として怖いケースもあるみたいだから、病院行ったほうがいいですよ!」と言われた。「じゃあ、行くわ」と、翌日の金曜、同じ町内にある耳鼻咽喉科の門をたたいた。聞こえなくなってから、ちょうど1週間が過ぎていた。

 聴力検査(ピーピーという音が聴こえたらボタンを押し、消えたらボタンを離す)を受けた。右耳は聞こえていない。突発性難聴と診断された。ただし、聴神経腫瘍の場合もあるので、一度MRIで調べたほうがいいと言う。むろん町内の耳鼻科にMRIはない。で、大きな病院への紹介状を書いてもらった。

 土日を挟んで翌週の月曜、総合病院の耳鼻咽喉科へ行く。そこでも同じ診断だった。突発性難聴だが、腫瘍の可能性もあると。僕はすぐに血液検査にまわされ、その結果が出る1時間後に耳鼻科に戻った。そこで担当医から言われたのは「一度帰宅されて、きょうの夕方までに入院手続きを取ってください。入院期間は1週間です」だった。

 「入院って、先生、手術するんですか? 耳が聞こえないくらいで?」。医者の説明によれば、突発性難聴の治療法としてステロイド投与があるが、胃の負担を避けるために錠剤等を飲むのではなく、点滴で血管に入れるか、鼓膜に穴をあけて注入するか、2つの方法がありますと。

 僕はずっと前からステロイドには抵抗がある。はっきり言って、やりたくない。でも、このままでは今後の仕事に支障が出るかもしれない。さて、どうしたものか……。僕は医者に訊いた。

 「入院してステロイド治療をやれば治るんですか?」。医者が僕の顔を見ながら言う。「治る確率は60%です」。僕は一瞬絶句した。「60%って言ったら、五分五分に毛が生えた程度じゃないですか……」。


(つづく)







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