週刊代々木忠
いまこの瞬間の代々木忠の想いが綴られる
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第150回 初出演の女の子が語ったセックス観
前回につづいて「目を見る」ことについて記してみたい。まずは「平成淫女隊 大失神」という作品のエピソードから。
「平成淫女隊」シリーズは、淫女隊と名づけた女性たちが男を解放してゆくというものだが、それまでずっと一般男性をまな板の上にのせていたのに対して、シリーズ6作目にあたる「大失神」では初めて男優を登場させた。平本一穂とチョコボール向井である。
相対する淫女隊には、レギュラーの渡辺美乃・星野なぎさに加えて、新人の田口尚子という子を実習生という形で入れた。すでにオーガズムを体験し、男の心を開くことのできる美乃やなぎさと違って、きっと尚子は現場で何もできないだろう。さて、どうしようかと思ったとき、ちょっとしたイタズラ心が湧いた。
撮影前、尚子を催眠誘導でトランスに入れ、ある条件付けを与えたのである。その条件付けとは「美乃となぎさが感じてきたら、あなたも同じように感じてしまう」というものだ。こうしておくと、催眠から覚めたあとも与えた条件付けは生きている。だから尚子を見れば、女の子たちの状態も僕は手に取るようにわかる。言ってみれば、バロメーター役なのである。
僕のカメラは、美乃やなぎさや男優たちのほかにも、尚子を追いかけている。そのフレームの中で、尚子は自分がさわられてもいないのに、どんどん感じてゆくのだった。ひと通り撮影が終わって最後に、僕は尚子にインタビューした。「セックスって何だ?」と。
ビデオ初出演の尚子が答える。「セックスは目と魂でするもの」。さらにつづけて「セックスは魂の交流」とまで言い切るのだった。言っておくが、僕は尚子にセックスのレクチャーはしていない。彼女はバロメーター役なので、なにも情報は与えないまま、素の反応が見たかったのだ。ましてや当時、「代々木は新興宗教でもおこすんじゃないか」と言われていたから「魂の交流」という言葉自体、誰かに言ったことすらなかった。
尚子の言葉を聞いて、僕はあっけにとられるとともに、目を見ることの凄さを再確認させられた。セックスの深奥をのぞくと、人はそこに気づくのだと。
さて、この作品の主人公の一人である平本は、オーガズムを体験する。このとき男優歴9年の彼は、インタビューでこんな言葉を残している。「男優をして7年くらいまでは、男優はイカせるもの、いやらしく見せるものだと思っていた。でも、相手あってのセックス。あるとき、好きだという気持ちを込めたら、返ってくる心地よさがわかった」。そして「かつては男優をしていることに負い目があったけれど、今は幸せで楽しい。友達にも胸を張って言える」と。
体験を通して得たものは自分の財産になると僕は思っている。かつて平本が「男優はイカせるもの」と思っていたように、男が女をイカせることに情熱を傾けるのも、若いときには経験してみるべきだと思うのだ。
しかし、それで女はイカない。イッたように見えて、早く終わってほしいがゆえの演技だったり、男を傷つけないための演技だったり、あるいは単に疲れ果てた電池切れの状態だったりする。この事実に、男はどこかで気づけばいいのだ。
イカせようとすることが第1ステージだとすれば、第2ステージでは、自分の感情をありのままに表現していく。それは自分の気持ちよさであったり、相手への愛おしさであったり……。すると結果として、あなたは相手の目を見ているはずである。
(*「週刊代々木忠」は2週間お休みをいただきます。次に読んでいただけるのは1月13日になります。みなさん、よいお年をお迎えください)
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2011-12-23(00:00) :
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第149回 オーガズムの極意
このブログを読んでくれてる方ならおわかりのように、僕は今まで「ワザを使って女をイカせる」っていうことに対して、あまり肯定はしてこなかった。それより「もっと心のほうが大切だ」とか「つながることが重要なんだ」とか。
ただ、女をイカせることに情熱を傾けるというのは、ある意味、男の性(さが)でもあるし、とくに若いときには一度それを経験してみることが必要かもしれないと思う。もっとも、生涯ずっとそれだけというのは、やはり違うだろうと。40代、50代、60代……と、僕は同世代の男たちを見てきて「おい、いつまでやってんだよ!」と思ったのも事実なのだ。
SMにも同じようなことが言える。男女が出会い、初めてセックスになろうというとき、双方が同時に「さあ、しましょう!」ってのは滅多にないわけで、ほとんどは男が半ば強引に「いいじゃないか」と迫り、女が「えっ、ダメよ」とか言いつつ、「あ~~」みたいな、それこそポルノ映画を地で行くような展開が訪れるはずだ(今だと男女逆転現象が起きているのは、さておいて)。つまり、セックスの導入部というのはSM的な形から入っていくという一面がある。
ところが多くの場合は、男が強引にやって、女をイカせて……というところからなかなか卒業できない。
「性感Xテクニック お嬢様、はり裂けそうっ!!」という作品がある。このシリーズはSEXYエステティシャンの南智子が名だたるAV男優たちを毎回、言葉なぶりで追い込みながらも同時に受容し、結果的に男のエゴを崩壊させるというものである。AV男優の第一人者である日比野達郎には、シリーズ1作目に登場してもらい、その後ふたたびゲストで来てもらったのが、この「お嬢様、はり裂けそうっ!!」だ。
日比野は2回目の出演なので、前回以上に楽しもうとしていた。完全に自分を明け渡して、歓びをどんどん表現している。そのとき、AV初出演の今野いずみという女の子が彼のオチンチンをしごいていた。そして日比野がドーンとイッてしまったその瞬間、今野も失神してベッドから転げ落ちた。自分の体は一切さわられてもいないのにもかかわらず……。
「無為」という言葉がある。老子が愛した言葉だ。「作為や人為がない」という意味だが、老子はその思想の中で「人はことさらに知や欲を働かせずに、自然のままに生きるのがよい」と言っている。これまでの話にあてはめれば、「女をイカせよう」というのは「作為」であり「人為」である。先の作品エピソードの中で、日比野は女をイカせようとしなかった。彼はただ歓びそのものになっていただけなのだ。
この「無為の為(い)」とでもいうべきことが、実はオーガズムの極意ではないかと思う。だが「無為の為」を説こうとした時点で、それは「無為」ではなくなってしまうという矛盾をはらんでいる。
僕はこのブログでも、見つめ合ってセックスをする目合(まぐわい)の大切さをくり返し述べてきた。だが、これを頭で解釈する人は「目を見ればいいんだ」という考えが先に立って、それを実践してしまう。要するに本人も意識しないところで、思考から努力して目を見てしまうのだ。
これは「無為」ではない。では、どうすればいいのか? 次回、それについて書いてみることにしよう。
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2011-12-16(10:02) :
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第148回 華道の宇宙
師走になり、花屋の店先に正月用の草木が並ぶころになると、50年以上前の記憶がよみがえる。
「おまえは気が荒いから、花屋で働いたらいい」。一緒に大阪へ逃げた友人Tの言葉だ。九州からの2人分の電車賃はTと僕がカツアゲで集めたものだったが、大阪に着いた時点で2人の財布にほとんどカネは残っていなかった。
初めて見る都会。なんと電車が上のほうを走っている。2人とも圧倒され、とても手に負えないと思った。田舎のほうへ逃げよう。たまたま乗った京阪電車。枚方という駅で降りる。職安へ行って、住み込みの仕事を探した。今のように規則ずくめの世の中ではなかったし、実際人手不足だったから、すぐに仕事は見つかった。Tはメリヤス工場へ、僕は花屋へ。17歳の夏だった。
花屋へ奉公として入ったのは暑い盛りだったが、慣れない生活と日々格闘しているうちに、いつしか季節は秋へ、そして冬へと変わっていった。年の瀬も押し詰まってくると、ますます仕事は忙しくなる。来店されるお客さんも増えるが、正月用に家庭で活ける花の配達が倍増するのである。店のご主人は嵯峨流家元の講師でもあったから、お弟子さんたちから花の注文が来る。彼女らは花屋にとってはお得意さんでもあるのだ。
関西で正月に活けるのは、万年青(おもと)や若松が多い。活け花用の万年青というのは、葉の先端が小さな袋状になっており、そこに泥や汚れが溜まっている。朝起きて、氷の張った水でその汚れを洗う。指先は寒さで痛くなり、そのうち感覚さえもなくなった。洗う指先にちょっと力を入れると、パチンと袋が割れてしまう。そうなると、もう商品にはならない。とはいえ、汚れたまま出すわけにもいかない。
最初の年はいやというほど先を割ってしまい、ご主人から怒られた。せっかく仕入れてきた万年青を台無しにしてしまったわけだから、金銭的にも損害だし、お得意さんに届ける数も足りなくなって、今からではもう間に合わないと。
もう一方の若松は、びっしり下まで松葉がある状態で仕入れてくるが、お客さんに届けるときには、下の松葉をハサミの背で削ぎ落とし、足元をスッキリさせないといけない。ところが、スッキリさせたところに松ヤニが出る。それを藁(わら)で拭き取るのだが、毎晩何百本と藁で磨くうちにこちらの手は松ヤニでベトベトになる。そしてこれがなかなか取れなかった。
当初は華道など興味もなかったけれど、ご主人から「うちではそれがわからないと務まらない」と言われて、僕も嵯峨流を習いはじめた。たとえば若松を例にとれば、5本、7本、9本……と奇数本を使って、天・地・人(これを三才という)を表現する。
床の間の左右どちらから光が射すかで、陽床と陰床がある。向かって左から射せば陽床、右なら陰床。上の挿絵は陽床の若松。
さらに真・行・草という花形がある。真は立つがごとし。行は歩むがごとし。草は走るがごとし。文字の楷書(真)・行書・草書と同様で、草に近づくにつれ、動きが激しくなる。若松の場合は、真か行であり、草はない。草は技術的にも無理だし、若松の特性からしてもその姿はあり得ない。ちなみに挿絵は真の形。
このように床の間に何か活けようとすれば、天・地・人の三才、形は真か行か草か――が問われる。それにはまず、活ける草木の出生(自然の中で生えていた状態)とその季節を理解しなければならない。
最初ご主人から「宇宙を活ける」などと言われても、「とてもついていけねえなぁ、わかんねぇよ」と思っていたが、仕事として花木を育て、毎日花を扱っていることも手伝って、その教えは知らず知らずのうちに身についていったようにも思える。
もっとも、華道の世界の一端をのぞかせてもらったのは6年ほどで、その後は九州に戻り、不良の世界に入ってゆく僕にとって、その教えがのちの人生に何か影響を与えたのかと問われれば、与えなかっただろうと言わざるを得ない。だが、今でも年末が近づき、花屋の店先で枝ぶりのいい苔がのった梅の古木などを見かけると、つい若松と千両(冬に赤い小さな実をつける)を買って帰り、無心で活けている自分がいたりもするのである。
2011-12-09(00:00) :
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第147回 風俗の現場から
地方でデリヘル嬢をしている女性が事務所に遊びに来た。彼女は42歳で、22歳の息子がいる。
「どんなお客さんが多いの?」と訊いてみると「20代から60代までの人たちがいらっしゃいます」と言う。続けて「草食系が増えてるけど、どう?」と訊ねると、彼女はこんな話をしてくれた。
「20代30代では、オチンチンが硬くない人が多いですね。勃つのは勃つけど、硬さが足りないっていうか……。若い人に比べたら40代50代のほうが硬いし、ちょっとガッツイてる感があるんですよ。だから楽しんでくれるし、ヨガってくれるし、そうすると私も感じちゃって素股でイケるし……。若い人たちにはそれがなくて、オチンチンも元気がないんです」
実際、若者たちに時間をかけてフェラをしても、素股でやっても、結局イカない人が多いのだそうだ。そして彼らは最後の最後に「自分だったらイク」と言い出す。さすがに「してみせて」って言うのも悪いから、「私、そういうの、興奮する!」と応えると、自分でシゴいて、あっという間にイッちゃうのだという。
彼女は20歳の時にできちゃった結婚をし、その後に離婚。息子が20歳になるまでは女手ひとつでキッチリ育て、それからは自分の人生を自由に生きようと思っていた。今年の春、さぁ何をしようかとネットを検索していたところ「時給3000円のコンパニオンの仕事」を見つけ、さっそく面接に行く。酒の席の仕事だろうが、それにしても条件がいい。
ところが行ってみると、担当者は「最近はコンパニオンの仕事も減っていて……」と言う。では、あの募集広告は何だったのかと思っていると、「実入りがいいのだったら、こういう仕事がありますよ」とデリヘルを紹介される。彼女はダマされたとは思わず、担当者が紳士的でとてもいい人だったから、その場で即決したという。
彼女は離婚後、男性経験が皆無だったわけではない。しかし、さすがに息子と同年代の男たちとそういう関係を持ったことはなかった。だからこそ、デリヘル嬢になってみて、「男が変わっちゃった!」と愕然としたのである。
デリヘルの料金についても訊いてみた。彼女の店は「100分で24000円」だと言う。若いサラリーマンにとって24000円は大金だ。ましてや地方ならば。40代50代の男たちは「ああしてほしい」「こうしてほしい」と甘えてくるし、野性もあり、なによりもその場を楽しんでいる。しかし、若者たちはずっと遠慮していて自己主張もないまま、大枚をはたいた揚句にオナニーで終わるのだ。マスばっかりかいていたら、その刺激じゃないとイケなくなる。加えて、生身の女とどうコミュニケーションを取ったらいいのかわからないのだろう。
彼女はこんなことも言っていた。「なぜ男の人は大きさを気にするんでしょう? 気にしている人に『そんなことないわよ。立派よ!』って言うんですけど、納得してはもらえない。それに対して、大きさを気にしてない人は、ハートで来るんですよ。そうすると、私もイッちゃう。大きさもテクニックも所詮は関係がない。女が歓ぶのはハートなのにね」
彼女は自分が欲情して、自分が感じて、自分が楽しまないと、お客さんも絶対に楽しくないという信念を持っている。今年の3月からデリヘル嬢を始めて今すでに「男を解放するのが私の使命だ!」と感じているのだから、大したものである。
彼女にそう決心させるほど、「このままじゃ、日本ダメなっちゃうよ!」という現実が風俗の現場には厳然と存在しているということだろう。彼女は勉強熱心で行動力もある。ヨガの勉強をするためにタイへ行ったり、僕に会おうと思えば、片道10時間以上深夜バスに揺られて上京してくる。きっと彼女ならば男を解放することができるに違いない。こんな女性が増えてくれればと願わざるを得ない。
男たちよ、草食系なんかに逃げ込んでる場合じゃないぜ!
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2011-12-02(00:00) :
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