週刊代々木忠
いまこの瞬間の代々木忠の想いが綴られる
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第331回 女の側の心理――そこを男は見落としている
女がイクかどうかに男はこだわる。女がイケば、男は己に自信を持つ生き物である。そのために精力剤が欠かせなかったり、テクニックを磨いたりする。ヘタなテクニックなど身につけても策士策に溺れるのが関の山で、目合(まぐわい)が大切なのだとさんざん書いてきた。ところが、目合をしてもイカないケースがある。それを今回は紹介しよう。
いま再編集している「ザ・面接 VOL.122 回春エステとエロ女神 ピアニストも来たんかい」(2011年)から。離婚後1年以上していない美和子(30歳)を面接するのは、一徹とじったの中折れ委員会。美和子はイケメンの一徹を差し置いて、なぜかじったを選ぶ。じったは「初めての女がいい、可愛くても2回目はない」というタイプ。現場で見ていても、自分本位というか、ほとんど女のことを考えてない。だが、やりたさ一心から美和子の中のタンポンまで食べてしまったから、彼女はその一途さを買ったのかもしれない。
けれども、じったは例のごとく中折れしてしまう。すると美和子は手を上げてチェンジのサイン。順序としては一徹の番だが、まだ勃っていないので銀次が行く。じったは「勃ったら入れさせてくれる?」と未練がましい。銀次は目を見ながら美和子の内面に入ろうとしている。このへん銀次は上手い。彼女もそれに呼応するよう銀次を見ている。そこへ「美和子、勃ったよ!」とじった。審査員たちからは失笑が起こる。まさにつながろうとしているかに見えるセックスの最中、遅きに失した間抜けな言葉だ。
ところが、ここで美和子はじったを呼ぶのである。している銀次も腑に落ちないだろうが、審査員からも「なんで!?」という声。挿入され突かれながら、じったに「さっきのとどっちが好き?」と問われて「じった!」と叫ぶ美和子。だが、ここでもじったは中折れする。「まだチャンスある?」と性懲りもなく訊くじったに「検討する」と答えた彼女は「切なくなってきた」と漏らす。
そこで一徹が行くが、あえなくチェンジ。次に、さっきいいところで邪魔された銀次がふたたび行き、渾身のセックスが始まる。「こっちはいつでもOKだよ!」とじったは混ぜっ返すが、その雑音に惑わされぬよう銀次は美和子を自分へと向かせる。じつに官能的なセックスだ。そしてついに銀次はイクが、美和子のほうはと言えばこれがイッていない。意識的にイクことを拒絶しているように僕には見えた。感じていて、受け入れてるんだけど、最後の最後で開いていないというか。
彼女が本当にイッたのは、その後、じったと奥のソファでしたときである。このときはじったもさすがに中折れはしなかった。さらにそのあと、片山が行くものの、片山はイッても、やはり美和子はイッていない。じったとイケるわけだから、イケない体ではないのだが……。美和子が1人の男に操を立てる女かといえば、途中でチェンジのサインも出すくらいだから、そこまでではないだろう。
冒頭に「女がイクかどうかに男はこだわる」と書いたが、とりわけ男優は相手をイカせるという宿命を負った男たちだ。イッたふりでもOKな現場ならプレッシャーもさほどではないだろうが、「ザ・面接」ではまさにそこが問われる。
なぜ美和子はイカなかったのか? その一点に銀次は納得いかなかったはずである。だから、僕が別の審査員のセックスを撮っているとき、美和子に「なぜじっただったの?」と聞きに行っている。彼女はこう答えたそうである。「きょうビデオに初めて出て、初めてセックスする相手と最後までちゃんとしたかった」と。この思いが、中折れするじったに何度もチャンスを与え、他の男優たちを拒みつづけた理由だったのだ。
女が心の中で何を思っているのかは、はたから見ているだけでは当然ながら知りえないことだ。けれども……。「女の側の心理を見落としたままでは、決してイカないのがセックスですよね」。銀次がぽつりとつぶやいた。
2015-11-06(00:00) :
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