週刊代々木忠
いまこの瞬間の代々木忠の想いが綴られる
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第109回 ある高校教師からの手紙
高校の先生をしている40歳の男性から手紙をいただいた。この人からは昨年も一度手紙をいただき、そのことはこのブログの
「本能と直観を育てる方法」
という話に少し書いた。
今回の手紙から、その人が特定できない形で一部を抜粋させていただこう。
〈先日のお手紙の中にも記したかもしれませんが、私は恋人を持ったことがありません。自分の性欲の解消は、最初はエロ本とオナニーで十分だったのですが、ピンサロ、ソープ、デリヘル、などに拡大していき、これまでに約300万円ほど使っていると思います。(中略)仕事やその他で行き詰まると、よくやすらぎをもとめて女の人に抱かれていたように思います。ラブホテルやアパートでデリヘルの女性を待ち、到着したときにココアをいれたり、帰りに(コンビニで買ったものですが)小さなケーキをお土産に渡したり、いつも時間をオーバーして話を最後まで聞いてくれた女の人がいらっしゃって、その方には迎えの運転手さんに渡してねといって缶ビールを用意しておいたり・・・とにかく少しでも自分のことを気に入ってもらい、女の人からのプラスアルファのやさしさを得るため姑息な手段を用いていました。いろんないきさつで本番を許してもらった人もたくさんいます。時間が限られていることが、とてもつらく感じられました〉
手紙にはこんなことも綴られている。
〈「プライド」を捨てる、ということが、難しいようです。「いい人」の仮面をかぶり、自分のいやらしさや本音を隠しています。口説くことや、ナンパが全くできません。いつのまにか、本の話をしたり、映画の話をしたり、あとは相手の話をたくさん聞くことに終始しています〉
読んでわかるように、彼は素人童貞である。「おまえ、なにやってんだ!?」という思いもあるにはあるが、やはり彼を責めることはできない。この世代の多くは、きっと同じような悩みを抱えているはずだ。彼は〈口説くことや、ナンパが全くできません〉と書いているが、僕には自分でそう決め込んでいるように見える。
僕に言わせれば、今の人たちはお利口すぎるというか、ものわかりがよすぎる。全部自分で考え、無難な判断をしてしまう習性が身についている。「○○しても、どうせ○○だから」と。だから行動に出ない。僕らの時代はそうではなかった。先に体が動いていた。気がついたら同棲していたりする。でも、女を好きになるってのは、そういうことじゃないのか。リスクを背負いたくない――それがある限りは、なにも起きない。ケガはしないかもしれないが、ジワジワと自分を閉じ込め、苦しめていって、結局はカウンセリングに行ったり、病院の世話にならなければいけなくなる。
でも、彼を責められないと思うのは、社会が彼のような人間を大量生産してきたからである。個人個人を見ていくと、それぞれ哲学を持っていて、僕なんかが論争しても、とても理屈じゃ勝てないんだけど、全体を俯瞰して見たときに、自分がいない。視点を変えれば、本当の自分が出せる場所・自分らしく生きられる場所もなくなったということである。
教員でウツになる人は多いと聞く。手紙をくれた彼も、今回の文面で自分は軽いウツだと書いている。自分の本能も感情も殺して、教師を振る舞う。たしかに女生徒に手でも出そうものなら、大変なことになるだろう。
ただし、手紙を読んでいくと、今の彼を救ってくれているのは女性、つまり異性であることがよくわかる。エロ本を見ながらセンズリしていても、それでは心が満たされない。なかなか自分を出せる場所もないなかで、たとえそれがデリヘルであったとしても、そこでちょっとやさしいおねえさんと出会ったとき、彼女との人間関係において彼の心は癒されている。
しかし、その一方で〈「プライド」を捨てる、ということが、難しいようです〉とある。これは思考が邪魔をしているからだ。先にも書いたように、「あれこれ考えるなよ!」と言いたいところだが、それにしてもまだまだ野性が足りない。もっとも、思考オクターヴ系人間のなかには、ことさら自分はオープンで、解放されているのだと演じる者もいる。そんな彼ら彼女らに比べれば、手紙をくれた高校教師のほうが、何倍も真の解放に近い。なぜなら、解放を演じる者は「H96」の意識階梯にいて、他者とのつながりを心の奥底で拒絶しているが、この先生は生身の女のやさしさだとか、一緒にいることのよろこび、そしてその重要性にすでに気づいているからである。きっとあともう少しで何かをつかめるだろうと僕は思う。
けれども、気づきから遠く、この先生以上に苦しんでいる人たちもたくさんいることを考えると、抜本的に何か手を打たないと、この先日本はどうなってしまうのか……。
先月、新宿ロフトプラスワンでのイベントで、宮台真司さん、藤本由香里さんとの鼎談(ていだん)があり、その場で僕は「遊郭を復活させるべきだ」という話をした。かつての遊郭には、男を癒し、そして男に自信と活力をもたらす素晴らしい女性たちがたくさんいた。彼女たちはオーガズムを体験した、いわゆるアゲマン女性で、感情を封印し本能が未成熟な男たちを立ち直らせるのは、もはやアゲマン女性しかいないのだと。もちろん、新たな遊郭には、男女逆バージョンも必要で、オーガズムを体験した男が女たちを癒すことにもなるだろう。
すると藤本さんが「マッサージから始めるといいですよね」と言った。僕は内心、おっ、藤本、いいこと言うなぁと思った。というのは、マッサージ師たちと話し込んだとき、彼らは「結局そこなんですよね」と言う。「体を揉みほぐしていき、最後の最後、性的に欲情させ、放出させてあげられれば、それがなによりの癒しなんです」と。ひょっとしたらあれは、藤本嬢の実感から出た言葉なのかもしれない。
それはともかく、巷にあふれる娯楽施設というものは、言ってみればみんな代用品にすぎないのではないだろうか。最終的に性という一番根っこのところを解放してあげなければ、本当の癒しにはならない。だから、男に対してはアゲマン女性が、女に対しては面接軍団みたいなのがお相手する、遊郭「ザ・面接」ができるといいのになぁと僕は思うのである。
テーマ :
日記
ジャンル :
アダルト
2011-02-25(11:32) :
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