週刊代々木忠
いまこの瞬間の代々木忠の想いが綴られる
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第114回 ロフトイベントに思う
今年の1月、映画「YOYOCHU」の公開に先がけ、新宿のロフトプラスワンにて「YOYOCHUでナイト!」というイベントがあった。ロフトに出演するのは、実に15年ぶりだった。このとき、僕はここで面接軍団を前面に打ち出すイベントをやりたいと思った。
そう思うに至るには、こんな経緯がある。アダルトビデオというのは、基本的に男性を対象にみんな作っているが、今から20年近く前、一般の女性たちと語り合う会を定期的に開いていた僕は、作品づくりにおいても女性を意識するようになった。というのは、マーケットのこともある。女性が半分いるわけだから、そのマーケットを逃がす手はないんじゃないかと。と同時に、女性に支持されて初めてバランスの取れた作品になるのではないかとも思ったのだ。
女性が見ても男性が見ても腑に落ちて、どこか心に響き、また、あるときには高揚するような、そんな作品はどうやったらできるだろう。すると僕の中で、いつのまにか男優が重要になってきた。太賀麻郎、加藤鷹、チョコボール向井、平本一穂などは、AVファンのみならず一般の女性たちをもファンとして獲得していった。
面接軍団については、べつに男優を売り出そうと思って撮っているわけではないけれど、結果として彼らが主役になっていく。おそらくこの業界で男優がメインのアダルトビデオは「ザ・面接」シリーズくらいではないだろうか。もっとも、他の作品を見ていないから、現実にはあるのかもしれないが、もしあれば業界誌等で伝わってきそうなものである。
映画「YOYOCHU」も、石岡監督が女性を意識しただけあって、女性に向けてのメッセージがいろいろ発信されている。だから、代々木忠と面接軍団を広く知ってもらうには、今が絶好のタイミングだと思ったのだ。
ところが、イベントの約1カ月前にあたる3月11日、大震災が起きた。僕は大震災のあった日の夜、イベントのメインテーマはチャリティーにしようと思った。現在、世の中の多くのイベントが延期や中止になっている。自粛するのは、被災された人たちが苦しんでいるなか、震災に遭わなかった者が浮かれているわけにはいかないという理由からだろう。僕がチャリティーをメインテーマにしようと思ったのは、イベントを中止にしないための変更だと思う人も、ひょっとしたらいるかもしれないが、実際はちょっと違う。
今回のイベントでは、これまで面接軍団が出ている映像の中から、男優ごとに彼ら自身二度と見たくないであろうシーンを面白おかしく編集したものを見てもらおうと思っていた。この映像を肴にした、ファンの人たちとのトークは相当盛り上がると期待している。でも、それがメインになるかというと、まだ何かが足りないような気がした。とはいえ、何をすればいいのかがなかなか思い浮かばない。だから、チャリティーをメインテーマにしようと思ったとき、これでイベントに魂が入ったなと感じたのである。
僕や面接軍団のおのおのが持ち寄る個人の品には、それぞれ面白いエピソードや意外なドラマがあるはずだ。それらをオークション方式で来場されたみなさんに競り落としてもらう。このチャリティーオークションをはじめ、当日の入場料や飲食代といった売上金のすべては、被災された方々に役立ててもらうつもりである。
その額は何億も寄付した人と比べれば、ほんの微々たるものに違いない。けれども、たとえ自分がオークションで何かを競り落とさなくとも、会場に足を運んでくれただけで、その人はチャリティーに参加したことになる。被災された人たちがご苦労されているのは言うまでもないが、東京で見かける人々もみな一様に元気がない。これまで僕自身、癒すがゆえに癒されるという体験を幾度となくしてきた。今回、みなさんがチャリティーに参加されることによって、笑顔を取り戻し、元気を発信してもらえたらと心から願っている。
あまりにも多くの尊い命が失われてしまったけれど、もしも今回の大震災から学ぶとすれば、それは“つながり感”をなくした日本に、神様が気づきなさいと言っているように僕には思える。今、人の思いやりやぬくもり、そのありがたみや重要性は、被災地の人たちだけでなく、みんなが感じている。この“つながり感”を僕たちはこれからも育んでゆかなければならない。そうしなければ、今回はらわれた大きな犠牲に対して申し訳ないと思うのだ。“つながり感”が成熟すれば、日本はきっと真の意味で豊かな国になる。
テーマ :
日記
ジャンル :
アダルト
2011-04-01(10:42) :
週刊代々木忠
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