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第307回 幸せって何だろう?


 ちょうど1年前、突発性難聴になった。それは完治したのだが、かかった総合病院では呼吸器内科にもまわされ、結果、肺気腫と診断された。てっきり歳のせいかと思っていたが、重い家具を動かしたり、ウォーキングで上り坂に差しかかると確かに息切れすることがあった。

 以来、月に1回、呼吸器内科へ吸引薬をもらいに通っている。朝1回それを肺に吸い込むと上り坂も苦にならない。主治医からは「タバコをやめましょう」と行くたびに言われる。「禁煙外来に行ってください」とも。タバコをやめれば、今より悪くなることはない、つまり今の状態をキープできるというわけである。

 なのに、僕はずっとタバコをやめていない。禁煙外来にも行ってない。タバコを吸わない人が読んだら、アホかと思うだろう。もしも今40代とか50代だったら、あるいは娘がまだ学校に通っていて、これから社会人になるとかだったら、主治医の言うとおりにしていたかもしれない。

 だが、娘たちも結婚し、子どもを産んで、家庭を持っている。僕はもう77歳だ。60代にわずらったうつが進行して、心身が極端に衰弱し、死を覚悟したことがある。そのとき墓も買ったし、わずかばかりの財産も娘たちに分割で渡しはじめている。何歳まで生きられるのかわからないが、その時間を延ばすことが僕にとっての最優先事項ではなく、残りの人生も自分らしく生きたいと思うのだ。タバコに限らず、自分の好きなことを我慢して生きていても、あまり楽しくないのではないか。

 WHOの「世界保健統計」(2014年最新)によれば、国別平均寿命ランキングで日本が1位。最近、香港が日本を抜いたという情報もあるが、いずれにしても世界に冠たる長寿国なのは間違いない。一方、国連の「世界幸福度報告書」(2013年最新)によれば、国別幸福度ランキングで日本は43位(1位デンマーク、2位ノルウェー、3位スイス)。長寿で世界一と言われるより、幸福度で世界一と言われるほうが僕はうれしい。

 幸福とは何だろう? その尺度は人によって異なるはずだが、僕は〈思考〉と〈感情〉と〈本能〉のバランスがうまく取れていることではないかと思う。

 たとえば、富や名声を得たいというのは〈思考面〉。家族・恋人・友人や仕事の人間関係をうまくやりたいというのは〈感情面〉。食欲や性欲を満たしたい、健康でいたいなどは〈本能面〉。これらはあえて端的な例をあげたが、実際には2つないし3つが絡み合っている場合も多い。

 食べるカネにも困っているので、今より収入のいい仕事を見つけたいというのは〈本能面〉から〈思考面〉。営業成績を上げたいが思うようにいかなくて落ち込むというのは〈思考面〉から〈感情面〉。風俗に行って、体だけでなく心もホカホカになったというのは〈本能面〉から〈感情面〉。

 では〈思考〉と〈感情〉と〈本能〉のバランスがうまく取れているとはどういうことなのか? 3つのうちの何かが突出していたり、逆に欠落してたりしないということである。社長の椅子は手に入れたが、友達と呼べる人間が1人もいないというのでは幸せなはずがない。愛する家族はできたが、仕事がないというのも困る。

 とりあえず生活していけるだけのカネがあり、社会における自分の居場所があって、友がおり、つねにイライラしたり不安に苛まれるということなく、セックスでも相手とつながれる。それが僕の考える幸福である。バランスが取れているなら、ひとつひとつは分相応でいい。きっとそれが等身大に生きるということだろうし、自分らしいということだろう。

 タバコを吸い続けて、いよいよ息切れがしてダメになったとき、幸せな人生だったなぁ~と思えれば最高である。










Aito-sei-long

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