週刊代々木忠
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第305回 テロの時代
先月、NHKの時論公論という番組の中で、アメリカ国家情報長官が公聴会で述べた「テロの発生件数」について伝えていた。「昨年、世界で発生したテロ事件は、1月から9月までの9カ月間でおよそ1万3000件。犠牲者は3万1000人。これは統計がある過去45年間で最悪となる見通しだ」という。
これを聞いて僕は、かつてこのブログでも何度か書いた「多次元的な円」を思い起こしていた。これまでの「ピラミッド型の力学」が終わり、「多次元的な円」の世界がやってくるというものだ。書いたブログの一部を再録する。
〈「ピラミッド型」では、頂点に国王や大統領といった支配者がいて、階層が下に行くほど人口が増える。力学的には上への絶対服従が条件であり、上意下達でなければピラミッド型は機能しない。こう書くと、どこぞの独裁国家の話かと思われるかもしれないが、日本のほとんどの会社組織はピラミッド型ではないだろうか。
この「ピラミッド型の力学」がずっと地球上を支配してきたし、長い間、人々もそれが正しいと信じてきた。というか、多少の難はあっても、さしあたってそれに代わるものはないと大多数の人たちは考えてきた。
ところが、蔓延する閉塞感。今までのようにカリスマ的なトップがいて、その人の言うことを聞いておけば上手くいくという考えは、至る所で破綻をきたしている。つまり「ピラミッド型の力学」ではもう立ち行かなくなっているのではないか。〉
一方、「多次元的な円」では、上も下もなく、すべての人がインタラクティブにつながっている。一人ひとりが中心となって何層にも広がっていく円のような状態だ。そこでは頂点を目指すがあまり自分を見失うことはない。しかし、誰かに寄りかかったり、ぶらさがったりもできなくなる。
話をテロに戻そう。4年前、「アラブの春」と呼ばれる政変が起きた。北アフリカと中東諸国に起こった一連の民主化運動である。これによって、チュニジア、エジプト、リビア、イエメンなどでは、長期にわたって独裁していた政権が相次いで崩壊していったのだ。
ところが、時論公論によれば、独裁政権の崩壊後、各国は民主化をめざして動き出したものの、国内の対立や混乱は逆に増すばかりだった。ついには内戦状態に陥り、政府の統治が行き届かない「権力の空白地帯」があちこちにできてしまったという。この「権力の空白地帯」こそが、国際テロや過激派組織の拠点になっていると指摘する。そして、過激な思想に共鳴した人々によるテロが、世界各地に拡散していると。
これまで独裁政権によって押さえ込まれていたものが、「ピラミッド型」が壊れたがゆえに、それぞれに動き出したわけである。僕がこれまで書いてきた「多次元的な円」は、どちらかと言えば“いい話”だった。これからは頂点にいる人間に頼るのではなく、自分たちが何かをやらなきゃいけない。自分が主人公なのだと。そういう意味では、過激派組織もまた自分が主人公なのだ。いわば負の多次元的円である。
アメリカ国家情報長官は公聴会にて「過激派組織の数、メンバーの数、そして支配地域が、史上最大の規模になった」と語った。由々しきことではあるけれど、これはもう避けられない過渡期なのだと僕は思う。
では、どうしたらいいのだろうか。危険な場所には近寄らないというのは誰もが真っ先にあげることだろう。たしかに、わざわざ過激派組織の拠点になっている場所への渡航はしないに越したことはない。だが、それ以上に大切なのは、自分の中にネガティブなものを溜め込まないことではないかと思うのだ。ネガティブなものが溜まっていると、同じようにネガティブなものを持つ人間たちと共鳴し、出会うことになる。
僕が子どもの頃から隣村の連中とケンカに明け暮れて、ヤクザとつきあうようになり、その世界に入って縁が切れなくなっていったのは、母親の死とともに始まった自分を出せない生活において蓄積していく心の闇が、やはり同じように心に闇を持つ者たちを呼び寄せ、関係を深くしていったのだと思う。
これは、いじめにも言えるだろう。いじめている側が悪いのは言うまでもないが、しかし、いじめられている子の中にも、その子のせいではないとしても、つらさや怒りや寂しさといったネガティブなものが中和されないまま残っているように見える。
もはやテロは日本人にとっても他人事ではない時代になったけれど、テロに限らず、「多次元的な円」においては、これまで出会うはずのないものが出会い、連鎖していくことになる。そこでは、意識するとしないにかかわらず、何を発信しているのかが、自分の先々を決めてゆく。くれぐれもネガティブなものがあれば中和しておいていただきたい。
2015-04-03(00:00) :
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