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第276回 閉じ込めていた記憶

 ちょっと前の話になるが、僕は「ザ・面接 VOL.139」の編集をしながら、「この子、やっぱりイキきれてないよなぁ。なんでオレはもっとレクチャーしっかりやらなかったかなぁ」と一人つぶやいていた。

 彼女は43歳。3年前に離婚している。理由はダンナさんの浮気。現在、セフレが1人いる。プロデューサーの資料を読むと「セックスでイケる(中でイケる)」と本人は言っていたようだ。けれども、監督面接で彼女から直接話を聞いてみると、いや、イッてないんじゃないかなぁと僕は思った。

 それを確かめるべく、呼吸法から入って、催淫CDを聴いてもらう。聴いているときの彼女は、けっこうせつなそうで、感じる姿も色っぽい。だが、言葉があまり出てこなかった。体は気持ちよくなっているのに、心は何かを閉じ込めているように見える。それがイケない原因だろうか……。

 「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」ならば、ここがとば口になって「何か嫌なことあった?」と切り込んでいくのだけれど、今回は「ザ・面接」だ。大人数だし、彼女のイケない原因を探ることがテーマではない。なので、これ以上は掘り下げなかったのだ。ちょっと不安は残るものの、一方では、現場に行けばなんとかなるだろうという思いもあった。

 現場では、まず銀次が彼女に行く。彼女のセックスはいやらしいのだけれど、イッていない。そのあと時間をおいて、片山が行く。映像の中ではわずかしか映っていないが、実際には上になったり下になったり、えんえんとやっている。彼女がイカないから終わらないのである。

 この作品では、年齢的にも彼女が見せ場になってくれたらいいなぁという期待があった。ところが、見てくれた人ならおわかりだろうが、関西出身の若手の2人に持っていかれてしまった感じだ。現場では予期せぬことが起こるわけだから、まぁ、これはこれでいいのだが……。しかし、銀次と片山があれだけ時間をかけてやりながらイケないというのは、なんでだろうなぁという疑問は依然としてある。そして僕としては、やはり悔しい。

 そこで「ようこそ催淫世界へ」でもう一度、彼女を撮ってみようと思った。千葉の別荘に行って、まず彼女が出ている「ザ・面接」の映像を見せた。「イッてないよね? 感じようとはしてるんだよね」と訊くと、「そうかもしれないです」と彼女。あれから他のメーカーでも何本か出たようなので、そこでのセックスも訊いてみた。「イキそうになったことはあるんですけど、実際にはイッてないです。プライベートでも……」。

 監督面接で初めて会ったとき、彼女が心に閉じ込めているように見えたものの正体とは何だろう? それがわかれば、打つ手はあるはずだ。過去にいったい何があったのだ? 彼女の心を傷つけるような。

 「幼児期に何かあったんじゃないの? よかったら話してよ」と僕は切り出した。一拍おいてから「父親ですね」と彼女が言う。彼女曰く、監督面接のとき、僕の話に感じるところがあったようで、すぐに僕の本を買って読み、このブログも一気に読んだそうだ。そして読み進めていくうちに、父親からされたことがおぼろげながらよみがえってきたという。ただし、それは曖昧で、現実にそういうことがあったのか、そういう夢を見たのか、まだ判然としないと。

 僕は呼吸法と年齢退行で、それを確かめることにした。


(つづく)





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