週刊代々木忠
いまこの瞬間の代々木忠の想いが綴られる
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--------(--:--) :
スポンサー広告
:
このページのトップへ
第26回 柏木みな[前編]
回春エステでは、機能増強や精力回復のためのマッサージを行う。ただし"抜き"はない。むろん例外的な店もあるのだろうが、少なくとも柏木みなの勤める店にはなかった。
とはいえ、客である男はマッサージ中に勃起する。機能増強や精力回復が目的なんだから、勃(た)って悪いことはない。が、勃てば「しごいて!」「入れさせて!」となる。そんな男たちを、柏木はどこかで蔑(さげす)んでいた。"抜き"がないのは、お客も了解済みのルールなのだから。抜くのが目的ならば、最初からそういう店に行けばいい。
ところがである。マッサージが終わったあと、柏木のパンティは濡れている。欲情する男を蔑みつつ、気づかないうちに欲情している自分をも嫌悪する。このパラドックスを、柏木は「おちんちんは許せる」と表現する。おもしろい言い方をするなぁと僕は思った。言外に「男は許せないけれど」というのが付くのだろうが、明らかに彼女の中で分離が起きている。
彼女の過去には、男にまつわる何か壮絶な経験があったのかもしれない。だが、僕はあえてそれを尋ねようとはしなかった。これまでならば、そこは突っ込みどころでもある。ともすれば、作品のテーマにもなりえるし、それを掘り下げ、彼女が変わっていくさまをカメラに収められれば、一作品としては成立する。
なぜ、僕は彼女に切り込んでいかなかったのだろう。思い返せば、それは今までずいぶんやってきたことだ。それよりも、やはり彼女をじっくり見ていきたいという思いのほうが強かったのだろう。
「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」の事前面接で、僕は初めて柏木に会った。話をいろいろ聴いていくなかで、この子はセックスの迷い道に入っているなぁと思った。女の子のセックスに対する向き合い方には、大きく分けて3つのグループがある。
1つめは、いいセックスを求め続けているグループ。本当のオーガズムを体験したいと思ってる子や、今よりもっといいセックスがあるはずだと思っている子が、このグループに属する。〈本能オクターヴ系〉
2つめは、セックスに失望しているグループ。セックスなんて所詮こんなもんだと決めつけている子たちであり、彼女たちはもうセックスに何も期待していない。実はこのグループに入る子はけっこう多い。〈感情オクターヴ系〉
3つめは、セックスを結果として遠ざけているグループ。個々にさまざまな事情が存在するが、たとえばセックスは好きな人にあげなくちゃいけない(しかし、なかなかそういう相手に出会えない)とか、私はそんな軽い女じゃないと思っている子たちである。〈思考オクターヴ系〉
ふつう僕は目の前の女の子がどのグループに属するかを見極めて、「なぜそうなの?」というところから切り込んでいく。ところが、柏木はどのグループにもあてはまらなかった。
柏木が回春エステ嬢をしていることには、何か意味があるはずだと僕は思った。彼女はエステティシャンの資格と技量を持っている。ならば、女性相手のエステティックサロンでも食べていけるはずである。なのに、わざわざ客や自分までをも嫌悪する回春エステにいるのは、たとえ本人が意識せずとも、深いところでそこに何かを求めているということではないだろうか。
僕は「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」の中で、まず柏木の意識のタテ軸に介入した。具体的に言えば、柏木に催淫CDを聴かせ、充分に欲情した状態で、男優の片山邦生を客に見立て、店の再現を注文した。始まる前から片山は勃起している。本当の店ならば、柏木も寸止めで自分を抑制するところだが、催淫CDによって「H48」の機能ともいうべき抑制力は格段に落ちている。
ついにこらえきれなくなった柏木は、片山のおちんちんをくわえ、二人のセックスは始まった。正常位で片山が上のとき、イキそうになった彼女は、片山を突き飛ばして潮を吹いた。ここで柏木はイッていない。ところが、彼女が上になり「私の中でイッてもいいんだよ」と片山にささやいたときには、自分から思いっきり腰を使ってイッている。
僕はそれを見ながら、やはり彼女は深いところで男を受け入れていないのだと感じてしまった。彼女にとって自分が下になる正常位は「セックス」だが、男の上で自ら腰を使っているときは相手を喜ばせるための「サービス」なのだ。だから「私の中でイッてもいいんだよ」とさかんに言っている。
これは「幸せにしてあげているんだ」という「思考オクターヴ」のエクスキューズに他ならない。店でもパンティが濡れてしまうくらいだから、もともと「本能オクターヴ」は「H24」状態にある。けれども「感情オクターヴ」だけは「H96」のままで、明け渡してはいない。だから、「愛おしい!」とか「一緒にイッてぇー! 私もイクぅー!」とはならなかった。
そこで、本能と思考がH24のうちに、柏木にペニスバンドを付けてもらい、男の感情オクターヴを疑似体験させた。柏木は気づく。「なんだ、こういうことだったの」と。「男って可愛いじゃない」と。ここで、男に対するデータが組み変わった。エネルギーモード(無意識に働く習慣)で、男と向き合ったとき、残影的エネルギーが反応してしまう傾向はあるけれど、第1段階はこれでクリアできたかなと僕は思っていた。
〈つづく〉
「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ(9)」より
テーマ :
日記
ジャンル :
アダルト
2009-05-29(14:47) :
週刊代々木忠
:
コメント 0
:
トラックバック 0
このページのトップへ
前の記事
«
ホーム
»
次の記事
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
このページのトップへ
コメントの投稿
名前
タイトル
メールアドレス
URL
本文
パスワード
非公開コメント
管理者にだけ表示を許可する
このページのトップへ
« 前の記事
ホーム
次の記事 »
このページのトップへ
カテゴリ
週刊代々木忠 (343)
最新記事
第344回 修羅場をくぐって (03/04)
第343回 誰のために (02/26)
第342回 みにくいアヒルの子 (02/19)
第341回 虚実皮膜 (02/12)
第340回 「満たされない女」と「向き合えない男」 (02/05)
第339回 トランスとは何か? (01/29)
第338回 笑ったり、泣いたり、怒ったり (01/22)
第337回 2015年をふり返って (12/18)
第336回 SM (12/11)
第335回 幸せが生まれる場所 (12/04)
第334回 幸福のとき (11/27)
第333回 セックスレスの大きな要因 (11/20)
第332回 対話Ⅲ (11/13)
第331回 女の側の心理――そこを男は見落としている (11/06)
第330回 世界一貧しい大統領 (10/30)
第329回 深まる秋に (10/23)
第328回 総理大臣の呼吸法 (10/16)
第327回 何のためにセックスするのか? (10/09)
第326回 サイレントベビー (10/02)
第325回 真似る (09/25)
第324回 スマホ買いました… (09/18)
第323回 売買春は合法化すべきか? (09/11)
第322回 右脳セックス (09/04)
第321回 夏の疲れに (08/28)
第320回 セックス経験1回の女の子 (07/31)
第319回 いじめの根っこ (07/24)
第318回 対話Ⅱ (07/17)
第317回 動き出した若者たち (07/10)
第316回 癒着と拡張 (07/03)
第315回 水平目線 (06/12)
月別アーカイブ
2016/03 (1)
2016/02 (4)
2016/01 (2)
2015/12 (3)
2015/11 (4)
2015/10 (5)
2015/09 (4)
2015/08 (1)
2015/07 (5)
2015/06 (2)
2015/05 (5)
2015/04 (4)
2015/03 (4)
2015/02 (4)
2015/01 (3)
2014/12 (3)
2014/11 (4)
2014/10 (5)
2014/09 (4)
2014/08 (2)
2014/07 (4)
2014/06 (4)
2014/05 (5)
2014/04 (4)
2014/03 (4)
2014/02 (4)
2014/01 (3)
2013/12 (4)
2013/11 (5)
2013/10 (4)
2013/09 (4)
2013/08 (3)
2013/07 (4)
2013/06 (4)
2013/05 (5)
2013/04 (4)
2013/03 (5)
2013/02 (4)
2013/01 (3)
2012/12 (3)
2012/11 (5)
2012/10 (4)
2012/09 (4)
2012/08 (3)
2012/07 (4)
2012/06 (5)
2012/05 (4)
2012/04 (4)
2012/03 (5)
2012/02 (4)
2012/01 (3)
2011/12 (4)
2011/11 (4)
2011/10 (4)
2011/09 (5)
2011/08 (2)
2011/07 (5)
2011/06 (4)
2011/05 (4)
2011/04 (5)
2011/03 (4)
2011/02 (4)
2011/01 (3)
2010/12 (4)
2010/11 (4)
2010/10 (5)
2010/09 (4)
2010/08 (2)
2010/07 (5)
2010/06 (4)
2010/05 (4)
2010/04 (5)
2010/03 (4)
2010/02 (4)
2010/01 (3)
2009/12 (4)
2009/11 (4)
2009/10 (5)
2009/09 (4)
2009/08 (2)
2009/07 (4)
2009/06 (4)
2009/05 (5)
2009/04 (4)
2009/03 (4)
2009/02 (4)
2009/01 (5)
2008/12 (4)
QRコード