週刊代々木忠
いまこの瞬間の代々木忠の想いが綴られる
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第73回 本能と直観を育てる方法
先日、高校教師をしている40歳の男性から手紙をいただいた。その手紙によれば、風俗の女性を抱いたことはあるけれど、いわゆる素人女性とは生まれてこのかた恋愛もセックスもしたことがないという。
手紙を読ませてもらって、この人は本能が未成熟なのだと思った。もっとも、本能が未成熟なのは彼だけに限った話ではなく、いまや多くの日本人が彼と似たり寄ったりのような気もする。
人間が食うや食わずの頃は、衣食住を確保するために全精力を傾ける。これは「生活の文化」の時代であり、本能の領域がそのほとんどを占める。わが国の歴史をふり返れば、直近では第二次世界大戦後がそれにあたるだろう。
とりあえず衣食住が満たされれば、次には「感性の文化」が花開く。たとえば空腹を満たすためには美味い不味いなどと言ってはいられないが、余裕が出てくればグルメだ美食だということになり、寒さを防げればとりあえずなんでも着たのに対して、デザインが流行がという話になる。もちろんこれらの感性は、芸術をも育んでゆくわけだが。
次に来るのが「知性の文化」の時代である。いまの日本がこれで、思考オクターヴ系が主導権を握っている。戦後、物質的豊かさを追求してきた、そのツケというか、歪みがあちこちに現れたとき、人は心の豊かさにいったん目を向けようとはしたものの、名ばかりの「ゆとり教育」は失敗に終わり、格差社会の警鐘とともに、少子化もあいまって、教育熱は以前にもまして顕著であるように僕には映る。
さて、冒頭に紹介した素人童貞である高校の先生も、手紙を読ませてもらったかぎりでは、思考オクターヴ系であると拝察する。思考型人間は情報を集めて分析するのが得意だ。より正しい結論を導き出そうとするがあまり、情報量は多ければ多いほどいいと思い込んでいる向きもある。
でも、そのぶん本能が未成熟だから、とりわけ感情オクターヴと本能オクターヴが主導権を握るべき恋愛やセックスでは、自信がなく、でもそれを情報で埋めようとして、さらに迷い道へと入ってゆく。
今回は、本能と直観を育てる方法のひとつを紹介しよう。
季節も暖かくなってきたので、あなたが山に行くとする。それも自分ひとりだけで。持って行くものは、1リットルの水、塩、そしてテントか寝袋。ちなみに塩は山ヒル対策用である。どのみち、野宿を覚悟してほしい。
街のネオンが見える所ではなく、まわりに人工物のない山がいい。なぜなら、武器も食べ物も灯りも持たず、自然の中に身を置くことが今回の目的であり、それがすべてだから。できれば月の出ない夜がいい。
目的地には、遅くとも日没前には到着したい。必要な人はテントを張り、そうでない人は寝袋を敷く場所を確保して、訪れる夜を待つ。暗闇があたりを支配し、その闇が深くなるにつれて、自然は徐々に音を消してゆく。
何も見えない中で、物音ひとつに聴覚を研ぎ澄ませ、見えない闇を凝視する。匂いにもきっと敏感になる。言われなくても、自分の五感をフルに働かせることになるのだ。
ちなみに、ある人に言わせれば、里山はかえって危険なのだそうだ。里山とは人里近くにあり、人間の住む場所とその対極にある自然との境界線でもある。つまり山に棲む動物たちが里山に下りてくるのは、だいたいエサがないときで、彼らは戦闘態勢でやってくる。だから充分気をつけてほしい。
万一なにかのトラブルに巻き込まれたとしても、僕に文句は言わないでいただきたい。自己責任のもと、あなたがたったひとりで、リスクと向き合うのである。何が起きるか、わからない。だれにも頼れない。頼れるのは自分だけ。究極の恐怖。
この恐怖に対するあなたへの報酬は「野性」である。あなたの中に眠っている野性が、必ずや目を覚ますに違いない。野性は本能オクターヴの成熟を加速させ、感情オクターヴの直観を働かせはじめる。直観とは言い換えれば「洞察力」である。それまで見えなかった物事の真理が実感をともなって見えてくる。きっとあなたの、その後の人生は変わる。
テーマ :
日記
ジャンル :
アダルト
2010-05-21(11:49) :
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