週刊代々木忠
いまこの瞬間の代々木忠の想いが綴られる
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--------(--:--) :
スポンサー広告
:
このページのトップへ
第80回 挿入できない女〈前編〉
久しぶりにAV女優を撮った。すでに20タイトルに出演しているという女優は栗原早記や豊丸や樹まり子たちを撮って以来20年ぶりだ。20本もビデオに出ていれば、当然ながらセックスのよさも知っているだろうとふつうは思う。
ところが、まったく悦びを知らない。イッたこともないという。最初、プロデューサー面接の資料でそれを読んだとき、彼女がイケないのはきっと子どもの頃のトラウマだろうと思った。そして面接資料を読み進んでいくと、まさにそのとおりのことが書き込まれていた。
撮影1日目の晩は、男優もスタッフもおらず、僕と彼女の2人きりで過ごす。AV女優を生業(なりわい)としている彼女は、監督のOKをもらうためならたぶん何でもやるだろう。しかし僕はいつもそうだが、素の姿の本気セックスを見たいし撮りたいのだ。
手始めに催淫CDを聴かせた。このCDには以前に書いたように催眠誘導が録音されている。その中の舐められているのを体感させるところで、彼女は多少反応した。ところが、挿入されたところで動きが止まってしまう。反応が鈍いなと僕は思った。
今回は「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」の撮影だが、同シリーズの過去の作品を何本か持ってきていたので、この子が欲情しそうなものを選んで見せることにした。AV女優の本気オナニーを久しぶりに撮りたいと思っていたからだ。
じっと見入っている彼女に「欲情してるんだろう?」と訊いたら、「恥ずかしい」と言う。僕は「あ、いいねぇ。仕事だと思えば大胆な大股開きもできるけど、今は素の自分だからなぁ」と声をかけた。いい雰囲気である。
モニターに映し出された作品が、いよいよセックスになる。すると、彼女は顔をしかめた。「どうしたの? 感じてるの?」と訊いたら、「痛い」と言う。先に催淫CDを聴いているので、多少はトランスに入っているはずだ。だからモニターの中の女の子と彼女はチャネリングしている。実際には何も入れていないのに、アソコが痛いと言い出した彼女。これじゃあ、どうにもならないなぁ......と僕は思った。
彼女にとってセックスとは「痛い」ものだった。にもかかわらず20本もビデオを続けてきたのは「楽しかった」からである。「痛い」と「楽しい」は相容れない。ひょっとして極度のマゾなのかと思う人もいるかもしれないが、マゾは決して生まれつきのものではないはずだ。
彼女の34年間の人生は、あまりにもつらかった。1回目の自殺はどういうクスリなら確実に死ねるかを調べ、可能なだけクスリを買い集め、それを飲んだという。しかし発見が早くて病院に運ばれ、一命を取り留めた。その後もドアノブに紐をかけて首をくくったりと、20回近く自殺を試みたものの、すべて失敗に終わった。だから、つねに彼女は死に救いを求めつつ生きてきたのだ。
彼女の父親は酒乱で、酒が入れば「おまえなんか死んじまえ!」と言いながら彼女に暴力をふるった。そんな父親にビクビクしている母親は、彼女ではなく弟のほうを可愛がった。同じ腹を痛めた子なのに、姉弟の扱いはあまりにも違っていた。少なくとも彼女の目から見れば。
「生まれてこなければよかった」と思っていた彼女が、ビデオに出演した。これまで自分が必要とされたことは一度としてなかったけれど、ビデオの現場は違っていた。みんなが自分に注目してくれる。彼女は生まれて初めて主役になれたのである。セックスは痛い。でもそれさえ我慢すれば、自分の居場所があった。
彼女のその切実な思いは、次のエピソードからも伝わってくる。去年の10月、彼女は大腸がんの宣告を受けた。助かるためには手術を受けないといけない。ところが、それは内視鏡で取れる範囲ではなく、切開手術になると医者からは言われる。腹に傷があっては、もうアダルトビデオには出られなくなる。せっかく見つけた自分の居場所が、手術と引き換えになくなってしまう。そこで彼女はこう考えた。どうせもともと死のうと思ってたのだから、私は楽しいままで死のう。手術は受けない。
入院の手続きもしない彼女に、担当医が業を煮やし彼女の実家に電話する。手術を早急に受けさせるよう、両親を説得したのだ。両親が強引に病院へ連れていこうとするので、彼女はアダルトビデオのことを打ち明けた。親子はその件で揉めたはずだが、再検査を条件にもう一度病院へ行くことになった。結果はというと、誤診なのだそうである。まったくいい加減な話だが、彼女の喜びは一入(ひとしお)だったに違いない。
彼女は24歳で結婚し、33歳で離婚している。9年間の結婚生活も、そういう体質だからうまくいかないし、本人はダンナから愛想を尽かされたと言う。朝起きられない。家事もうまくできなかったようだ。
話を今回の「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」に戻そう。僕が最初に思い描いたよりも事態はずっと深刻で、一筋縄ではいきそうにない。挿入が痛いのでは、どうしたらいいのだろう? とりあえずもう一回催淫CDを聴かせるか、呼吸をやるしかないなぁと思った。
床にムートンを敷いて横になってもらい、呼吸法を行った。しばらく続けていると、このまま行くとひょっとしたら人格が乖離してしまうかもしれないという思いがよぎった。トランスに入ったのち、トラウマを徐々に吐き出してくれればいいが、これまで押さえ込まれていた体験意識が一気に表に出てきたとき、1人の人格として自立してしまう可能性もある。
そうなれば、最低でも5年や6年は彼女とつきあうことになる。自分はそこまで彼女の面倒を見られるのだろうか? 彼女のネガティブな感情と長い期間寄り添えば、僕自身、やっと治った鬱にまた戻るかもしれない。......やはり無理だ。
僕は行っていたブリージングを自然呼吸に戻して、性器呼吸をしばらく続けた。すると、ちょっと腰が動いてくる。「濡れてきたのかい?」と訊くと「わかんない」と言う。「オマンコ、さわっていい?」と訊くと「ハイ」と言う。さわってみると、彼女のそこはもうズブズブになっていた。お尻のほうまで垂れている。「オレの目を見ながら、自分から腰を使ってごらん」という僕の言葉に、彼女の腰が求めるような動きに変わった。「入れたいなぁ」と言ってみたら「入れて」と言うので、じらしながら指をゆっくり挿入する。たしかに狭い。これじゃあ男優は大変だよなぁと思った。
しばらく指の出し入れをしていたのだが、何かの拍子でスーッと渇いてしまった。まるで瞬時というくらいの早さで。すると指が抜けない。もちろん力ずくで抜こうと思えば抜けるのだが、いままでのヌルヌルの状態で出し入れする力加減ではキュッとしたまま動かなくなった。
こうなった原因は、彼女の中で過去の何かが反応し、拒絶が起きたのだろうが、ますますこれは厄介だなぁと思った。いったい明日の撮影はどうしたらいいのだろうか......。
(つづく)
催淫CDも彼女には効かないのか?
テーマ :
日記
ジャンル :
アダルト
2010-07-09(16:55) :
週刊代々木忠
:
コメント 0
:
トラックバック 0
このページのトップへ
前の記事
«
ホーム
»
次の記事
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
このページのトップへ
コメントの投稿
名前
タイトル
メールアドレス
URL
本文
パスワード
非公開コメント
管理者にだけ表示を許可する
このページのトップへ
« 前の記事
ホーム
次の記事 »
このページのトップへ
カテゴリ
週刊代々木忠 (343)
最新記事
第344回 修羅場をくぐって (03/04)
第343回 誰のために (02/26)
第342回 みにくいアヒルの子 (02/19)
第341回 虚実皮膜 (02/12)
第340回 「満たされない女」と「向き合えない男」 (02/05)
第339回 トランスとは何か? (01/29)
第338回 笑ったり、泣いたり、怒ったり (01/22)
第337回 2015年をふり返って (12/18)
第336回 SM (12/11)
第335回 幸せが生まれる場所 (12/04)
第334回 幸福のとき (11/27)
第333回 セックスレスの大きな要因 (11/20)
第332回 対話Ⅲ (11/13)
第331回 女の側の心理――そこを男は見落としている (11/06)
第330回 世界一貧しい大統領 (10/30)
第329回 深まる秋に (10/23)
第328回 総理大臣の呼吸法 (10/16)
第327回 何のためにセックスするのか? (10/09)
第326回 サイレントベビー (10/02)
第325回 真似る (09/25)
第324回 スマホ買いました… (09/18)
第323回 売買春は合法化すべきか? (09/11)
第322回 右脳セックス (09/04)
第321回 夏の疲れに (08/28)
第320回 セックス経験1回の女の子 (07/31)
第319回 いじめの根っこ (07/24)
第318回 対話Ⅱ (07/17)
第317回 動き出した若者たち (07/10)
第316回 癒着と拡張 (07/03)
第315回 水平目線 (06/12)
月別アーカイブ
2016/03 (1)
2016/02 (4)
2016/01 (2)
2015/12 (3)
2015/11 (4)
2015/10 (5)
2015/09 (4)
2015/08 (1)
2015/07 (5)
2015/06 (2)
2015/05 (5)
2015/04 (4)
2015/03 (4)
2015/02 (4)
2015/01 (3)
2014/12 (3)
2014/11 (4)
2014/10 (5)
2014/09 (4)
2014/08 (2)
2014/07 (4)
2014/06 (4)
2014/05 (5)
2014/04 (4)
2014/03 (4)
2014/02 (4)
2014/01 (3)
2013/12 (4)
2013/11 (5)
2013/10 (4)
2013/09 (4)
2013/08 (3)
2013/07 (4)
2013/06 (4)
2013/05 (5)
2013/04 (4)
2013/03 (5)
2013/02 (4)
2013/01 (3)
2012/12 (3)
2012/11 (5)
2012/10 (4)
2012/09 (4)
2012/08 (3)
2012/07 (4)
2012/06 (5)
2012/05 (4)
2012/04 (4)
2012/03 (5)
2012/02 (4)
2012/01 (3)
2011/12 (4)
2011/11 (4)
2011/10 (4)
2011/09 (5)
2011/08 (2)
2011/07 (5)
2011/06 (4)
2011/05 (4)
2011/04 (5)
2011/03 (4)
2011/02 (4)
2011/01 (3)
2010/12 (4)
2010/11 (4)
2010/10 (5)
2010/09 (4)
2010/08 (2)
2010/07 (5)
2010/06 (4)
2010/05 (4)
2010/04 (5)
2010/03 (4)
2010/02 (4)
2010/01 (3)
2009/12 (4)
2009/11 (4)
2009/10 (5)
2009/09 (4)
2009/08 (2)
2009/07 (4)
2009/06 (4)
2009/05 (5)
2009/04 (4)
2009/03 (4)
2009/02 (4)
2009/01 (5)
2008/12 (4)
QRコード