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第265回 人を生かしているもの

 「あなたは何のために生きていますか?」と問われれば、ある人は仕事のやりがいを答えるかもしれないし、またある人は熱中している趣味について語るかもしれない。乳飲み児を抱えた母親ならば「この子のため」と言うだろうか。なかには、直截に「食べるため」とか「女とヤルため」と言ってのける人もいるだろう。

 このように生きる目的や意義は、その人の経験や境遇、能力や価値観、指向性や感受性等々によって、さまざまである。だが、たとえそれらが千差万別だったとしても、すべからく人間は「快」によって生かされているのだと僕は思っている。

 いい仕事ができたという達成感は快だし、それによってお客さんが歓んでくれたのも快だ。功名心がくすぐられるのも快なら、収入が増えるのも快。自分の好きな趣味に時間を忘れるのは快だし、趣味の仲間たちと語り合うのも快だ。幼いわが子の可愛い笑顔や安らかな寝顔は快以外の何ものでもない。食欲を満たすのもしかり、性欲もしかり。

 快は本能に属している。だから、先にあげたような例ばかりとは限らない。社会性のモノサシであるところの善悪や正邪はなく、快は快なのだ。たとえば麻薬や窃盗や暴力行為なども、やっている本人はそのとき快を得ているはずである。もちろん、だからいいという話ではない。麻薬や窃盗や暴力ならば、なぜいけないのかを説明する必要すらないが、次にあげる3つのケースはどうだろう。

 【ケース1】好きな仕事で、それこそ寝食も忘れて、ずっと同じ姿勢のままデスクワークに打ち込んでいる。疲労は溜まりに溜まっているものの、集中しているときにはまったく気にならない。納期へのプレッシャーはある。でも、最終的には自分がやりたいからやっているんだと思う。こんな生活続けていたら長生きできないなと思うこともあるけれど、充実感はハンパない。

 【ケース2】スマホのオンラインゲームにハマッている。今や5000億市場だというから、私のような人間はたくさんいると思う。会社への行き帰り、電車の中ではもちろんのこと、家や会社でも……。仕事でもプライベートでもストレスが多い。それをゲームで発散して明日に備える。オンラインゲームは現代人の常備薬だと思う。

 【ケース3】アダルトビデオを見てオナニーにふける。セックスよりも、快感という面だけで量れば、刺激を自在にコントロールできるオナニーのほうがずっと気持ちいい。ときには風俗に行くこともある。風俗では自分が横になって、女の子からいろいろしてもらうのが好きだ。べつに誰にも迷惑はかけていない。

 さて、どうだろう。3つとも快だ。法律にも抵触していない。であれば、どう生きようが、その人の自由である。僕が「ゲームは時間を決めてやりましょう」とか「オナニーはほどほどにしましょう」と言うのはヘンだ。

 しかし、気になることが1つだけある。それはどのケースも、体を動かし汗を流してはいないということ。「なんだ、そんなことか」と思う人もいるかもしれない。日頃、体を動かす習慣のない人ほど、きっとそう思うだろう。これは自ら体験してみないと効果がなかなか伝わらないものだが、人間の体はもともと動かすようにできている。そして体こそが何をやるにしても土台になるのだ。どうせ得るなら、体にいい快を!




Aito-sei-long

テーマ : 日記
ジャンル : アダルト

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