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第229回 挿れて1時間してほしい?

 30歳、独身、男性経験50人という女性を面接した。出演理由は「今までイッたことがないので、ビデオでイッてみたい」というもの。性体験が少なくてイケない場合なら、比較的簡単にイケるようになる。だが、50人という数はもはや初心者ではない。しかも、プロデューサーから来た資料に目を通しながら、この人はちょっと厄介だなぁと思った。

 彼女は小学校4年からレディコミを読んでオナニーしている。そして、オナニーで濡れたパンツは自分で洗っている。それから20年を経た今、「バイブが好き、ローターも好き、電マは大好物」とある。ちなみに電マにはディルド(ペニスの張り型)を装着して使っている。ビデオでやってみたいことは「3~4人に犯される、外でヤラれる、手縛り、レズ、コスプレ」。

 なぜ厄介なのかというと、頭で妄想し、そこから欲情してくるという回路が、すでに彼女の中でできあがっているからである。

 外的な欲情の回路には、大きく分けて2通りある。ひとつは、そばにいるだけでドキドキしちゃうくらい好きな人に対して「この人に抱かれたい」と欲情するケース。男だったら「この女とやりてぇ」という、つまりは生身の人間に欲情するものだ。そしてもうひとつは、エッチな画像や本やビデオなどを見るなり読むなりして欲情するもの。どちらも欲情には違いないが、出発点はまったく違う。

 前者の場合、生身の人間に欲情しているので、そのままセックスに入ればいいが、後者の場合は妄想からいったん覚めて、現実の人間と向き合わざるを得ない。向き合ったとき、自分が作り上げてきた妄想とは異なる現実にふれることになる。

 さらに彼女が、オナニーで道具が好きなことや、ビデオでやってみたいことを見ても、強い刺激を求めているのがわかる。プロデューサーの資料には、直近のセックスとしてこんなエピソードも綴られていた。2週間前、出会いクラブで知り合った男としたのだが、「挿入してから20分だった」と不満げだ。「挿れて1時間はしてほしい」と。

 応接室で彼女に会ったとき、僕はまず「ビデオに出るのは、ビデオだったらイケるだろうと、そういうことだよね?」と確認した。「それがいちばん大きいです」と彼女。「でも、プロの男優でも、今の状態だったら、あなたイケないよ」。まだ何も話してないうちから、いきなり否定されて彼女は戸惑っている。「きついことを言うようだけど、あなたの中に問題がある。あなたはセックスに参加してないもんね」。

 妄想から欲情するタイプは、生身のセックスでいったん覚め、肉体の刺激を味わいつつ、また妄想の世界へと戻ってゆく。体と頭はしていても、心はそこに参加していないわけである。

 僕は質問を投げてみた。「今までセックスしたなかで、イカないまでも、『ああ、幸せ』って思うか、涙が出るようなこと、そういう体験はない?」。彼女はしばし考え、「過去につきあった人と1回だけそういうことがありました」と答えた。「オーガズムというのは、そういう状態で起きるんだよ。そのとき、あなたの心はきっと参加してたんじゃないかな」。

 僕の言葉を聞いて、「この歳までそれに気づきませんでした。恥ずかしいです」と彼女が言う。殊勝というか、優等生的というか……。彼女は銀座でホステスを5年している。その後は、宝石販売と化粧品販売。どれも自分の本音だけではやっていけない商売である。嘘とまでは言わないが、無意識に表の顔と裏の顔を使い分けることになるだろう。

 だが、本当の自分をなかなか表に出せないという姿勢は、これらの職業に就くずっと前からあったんじゃないかと僕は思っていた。それは小学校で始めたオナニーまでさかのぼる。彼女はオナニーのたびごと、濡れたパンツを家族に知られぬよう自分でこっそり洗っていたのだから……。

 つづいて彼女にはソファに横になってもらい、催淫CDを聴かせた。聴きながら体は反応しているものの、まだ声を抑えている。本当の自分を出せていないのだ。「どうだった?」と訊くと「入り込もうとするんですけど、どこかで素に戻る自分がいます」という返事がかえってきた。

 僕は横になっている彼女のかたわらにしゃがみ込み、彼女の目を見ながら手を握った。そしてもう一方の手で彼女の股間をさわる。ビチョビチョに濡れている。「オレを見て! ここ、どうなってんの? 目をそらしちゃダメだよ」。生理の最終日ということでタンポンが入っている。だからクリトリスと入口のところをさわっているだけだが、彼女はどんどん感じていく。

 しかし、感じてくると自分の世界へ入るのがクセになっているから、僕から目をそらそうとする。そのたびに僕は「オレの目を見ろ!」「スケベなんだろ?『私、スケベです』って言ってみろ!」「セックス好きなんだろ!」と言葉をかけつづけた。すると初めて「セックス大好きー!」と叫んだかと思うと、「イキそう!」と言い出した。「ちゃんと目を見たら、そのままイケるから!」と僕が言うが早いか、「イッちゃう! イッちゃう!」とそのままイッてしまった。

 事前に催淫CDを聴いているとはいえ、僕が彼女にふれてからイクまでの時間は3~4分。「20分ピストンされても短い」「1時間はしてほしい」と言っていた彼女が、ペニスはおろか指さえ入れていないのに、ものの数分でイッてしまったのだ。

 落ち着いてきた彼女が「こんなの初めて……監督、好きになっちゃった」と言う。「目を見ると愛おしくなるんだよ。その愛おしさ、好きになるってことがポイントなんだね。今は妄想してなかったでしょ?」「もう、そんな余裕ぜんぜんなかったです」と彼女は笑った。その笑顔を見ながら、この人に本当に恋人ができるといいのになぁ……と僕は思った。“恋愛”ができたとき、彼女はイケるようになるだろう。





Aito-sei-long

テーマ : 日記
ジャンル : アダルト

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