週刊代々木忠
いまこの瞬間の代々木忠の想いが綴られる
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第131回 溶け合えない「私」
撮影初日の深夜、女の子と二人きりの別荘で、女の子のほうから迫ってくる。それも催淫CDによって、文字どおり触れなば落ちんという状態で。僕は僕で、彼女が心を開けるように単なるスケベなオジサンになっているから、彼女と同様に触れなば落ちんである。
「いいな、役得で」と思われるかもしれないが、そういうわけにもいかないのである。もし僕がやってしまうと、彼女の欲求不満状態はそこで途切れてしまう。やりたくてたまらないからこそ、いいセックスが撮れる。
それに加えて、僕の欲求不満も解消されてしまう。僕は出演しないけれど、オスとしての貪欲さがないと、カメラワークに迫力そのものがなくなるのである。これでは、なんのために撮影に来たのかわからない。
なんで、やった場合の結果がわかるのかといえば、恥ずかしながら、かつてやったことがあるからだ。このときの自己嫌悪は、それはすごい。もう二度とあんな思いはごめんだと思うから、欲情した女の子を目の前にしながら、がまんするしかない。まぁ、これはこれでけっこうキツいのだけれど。
前回から、女の子がセックスで〈過去〉でも〈未来〉でもなく〈現在〉、つまり今を楽しむためには、どうすればいいのかを書いてきた。彼女自身がポジティブになり、何をしてもOKという状況を作るというのがそれだが、なかにはそれでも思考が落ちない子がいる。
そんな子の場合、次なる手として「考えさせなくしてしまう」というのがある。そのためには、感情をくすぐるというか、感情オクターヴにアプローチをかけてゆく。たとえば怒らせるというのも、ひとつの手だ。
現場でよく使う手としては、僕が女の子に怒鳴る。そして突き放す。もちろん訳もなく唐突に怒り出すわけではない。たとえば事前にいろいろ話をしているが、そのときのことを忘れてしまって、まったく違うことをしていたりするケースにおいてである。ただ、怒鳴られた当人は事前の話も右から左に忘れているから、「なんでー!?」となる。そこで初めて感情があらわになってくる。そこでの感情とは、悲しみもあるだろうし、怒りもあるだろう。
ここでは、その後あえて僕はフォローに回らず、突き放すということが重要になってくる。突き放せば、女の子は置かれた状況から男優に逃げ込むしかなくなるのだから。
こうさせたいという思いがあるとき、ぜんぜん違うところに火をつけるというのは、僕の手法と言えるだろう。怒鳴っておいて「こうしなさい」では、必ず内面の反発が起きるし、せっかく思考を落とそうとしているのに、女の子はまた頭で考えることにもなってしまう。
いずれにしても、今を楽しむということが、セックスのみならず、生きること全般において重要だと僕は思っている。思考が働くとだれしも先々の手を打ちたくなる。もちろん僕もである。ほとんどのエネルギーを先々の打つ手に費やせば、今を楽しむエネルギーはなくなってしまうのだ。
子どもは大人よりも、今を楽しむ達人である。自分の中にいる子どもの声にじっくり耳を傾けてみるのもいいかもしれない。
テーマ :
日記
ジャンル :
アダルト
2011-07-29(00:00) :
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