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第181回 レイプと強盗がもたらしたもの

 「自然」と「社会」は、対立概念でもある。たとえば、ニホンザルはサル山に社会を形成するが、彼らの社会は自然の中の一部に見える。ところが、僕たちニンゲンの社会は、往々にして自然をコントロールしようとし、ときには破壊さえしてきた。そして、コントロールしたはずの自然から大きなしっぺ返しを食うこともある。

 「レイプと強盗~」というから読みはじめてみたら、いったい何の話かと思われるかもしれないが、予定では、最後にはつながっていくはずである。

 5年前の作品に「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ4 誰にも言えない猥褻事件」というのがある。ここには、真島みゆきと茜しおんという20代半ばの女性が登場する。2人を一緒に撮ったわけではない。お互いに面識があるわけでもなく、たまたま撮影日が近かっただけだが、期せずして2人は現場で同じようなテーマを僕に投げかけてくれたのだった。

 最初に登場する真島は、ふつうのセックスをしたことがないと言う。叩かれたり、髪を引っ張られたり、縛られたり、首を絞められたり、オシッコをかけられたり……。「それで満足しているの?」と訊いたら、「セックスってそういうものだと思っていたので」と答えた。つまり、これまでそういう相手としか巡り合っていないのだ。

 このブログを読んでくれている方なら、もうおわかりだろう。会う男会う男がみな隷属を求めるというのは単なる偶然ではなく、彼女の側に何らかの原因があるはずだ。そう考えるのは、僕の現場が長い男優たちも同様で、その場にいた平本一穂が「何か呼んでるんじゃないですかねぇ」と言う。「かもしれないですね」と彼女。続けて平本は「レイプされたことありませんか?」と尋ねる。「あります。なんでわかるんですか?」

 彼女の話によれば、レイプは小学校5年生のときで、初潮の数日後だったという。むろん処女だった。相手はまったく知らない人。傷ついた心と体にせめて温かい言葉をかけるべき母親の口から出たのは、「そんな汚いことされたんだから、外で絶対言うんじゃないよ」だった。「大丈夫?」の一言もなく、まるで「あんたが悪いんだよ!」と言わんばかりの態度に、彼女は「あ、いけないことなんだ」と思ったという。「忘れようとしても忘れられなくて、(レイプの)時期が夏だったんですが、夏になると思い出すんです」と言う。その後、彼女は15歳のとき、別の知らない男からもレイプされている。

 最初のレイプのとき、もしも母親が「おまえが悪いんじゃない!」とはっきり言ってくれて、やさしい言葉で包み込んでくれたなら、彼女の心の傷も薄らいでいったことだろう。たとえ完全には消えなくとも、それがトラウマとして残り、その後の彼女を苦しめ続けることはなかったに違いない。

 以前には退行催眠や呼吸法によって、女の子に当時のレイプを再体験させ、そこの記憶を組み替えるということをやってきた。しかし、この「ようこそ催淫(アブナイ)世界へ」では、催淫テープ(CD)によって、社会のしがらみや自己規制から解き放ち、本当のセックスを体験させるようにしている。本当のセックスを体験すれば、その子の人生はきっと違ったものになるだろうと思うからである。

 彼女はあのセックスで、初めて安心感のようなものを感じ取ったようだ。叩かれたり、縛られたり、首を絞められたりといった隷従・隷属ではなく、目の前の男に自分を明け渡してしまえる安心感である。それは彼女をずっと苦しめてきた忌まわしい記憶すらも、中和するものであったと思う。

 2番目に登場する茜は「恋愛していても、セックスしていても、いつも冷静に見ているもう1人の自分がいる」と言った。だから「自分が好きと思っても、もう1人の自分が『この人じゃないかも』と言う」のだそうだ。

 彼女が恋愛に冷め、セックスに没頭できなくなったのには、理由があった。それは3年前に遭った強盗事件である。被害者となった彼女は「犯人もふだんは普通の人なんだろうけど、何かちょっと間違っただけで、他人をここまで恐怖に陥れることが平気でできるんだと思った」と言う。それ以来、彼女は人間不信なのだ。強盗事件についてはあえて踏み込まなかったから詳細はわからないけれど、彼女が味わった「恐怖」の中には、ひょっとしたらレイプも含まれていたかもしれない。

 催淫テープを聴いたあと、彼女が平本とセックスをする。している間じゅう、彼女は平本の目を見つめたままだった。終わったあと、そのことを訊いてみると、「今まで目を見てしたことなんてなかった」と言う。そして「動物になっちゃったんじゃないかな……。ずっと目をあけてたかった。なんかわかんないけど、見ていたかった」と。

 本能むき出しの彼女は、佐川銀次ともセックスをした。まさに目合(まぐわい)だった。満たされた顔の彼女が「幸せな感じが凄い」と言う。「ちゃんとセックスしてたよ」と僕が言ったら、「きょう、処女じゃなくなったような気分なんですけど」とうれしそうに笑った。

 催淫テープはトランス誘導により社会性(思考)を落とし、内なる自然(本能)に主導権を握らせる。本能に根づいた感情が湧き上がってきたとき、人はおのずと相手の目を見たくなるものなのだ。にもかかわらず、ほとんどの人間は自然からどんどん遠ざかっている。僕はこの作品のエンディングに次のようなテロップを入れた。

 自然は心をほどき、身を解く。本来SEXも自然に属していた。 

テーマ : 日記
ジャンル : アダルト

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