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第43回 裏動画サイト

 以前、このブログで「ビデ倫の崩壊」という話を書いた(2009年02月06日)。内容については繰り返しになるのでふれないが、ビデ倫(日本ビデオ倫理協会)とは設立時からちょっとした縁もあり、僕なりに思い入れのある組織だった。

 なぜそんなことを書くのかというと、今回の話も根っこは「ビデ倫の崩壊」と地続きだと思うからだ。

 今から30年以上前、まだアダルトビデオという言葉もなかった頃、モーテルやホテル向けの業務用ビデオは35mm映画のセンター・トリミングから16mmフィルムで撮影されるようになっていた。これが警察から摘発を受け、自主規制機関であるビデ倫が設立されるきっかけとなった。各家庭にデッキが流通するにはもう少し時間を要する。

 VHSとベータが出だした頃、僕はフィルムではなく、初めてビデオカメラで作品を撮った。「愛染恭子」に始まって、「ザ・オナニー」から「性感極秘テクニック」といったシリーズを立て続けに。でも、その時点で世の中にビデオレンタル店はまだ誕生していない。だから、これらはすべてセルビデオだったのである。

 その後はレンタル主流の時代が続き、アダルトビデオといえば借りて見るものというライフスタイルが定着する。その後、またセルが市場を形成していくわけだが、借りに行く・買いに行くという行為を経ることなく、家に居ながらにしてダウンロードやストリーミングで見られる時代になった。

 そこにはビデオテープというアナログ映像からDVDというデジタル映像に変わったこともネット配信を可能にした要因であるし、手間をかけず見たい時にすぐ見たいというユーザー側のニーズとネット配信は合致するものだったろう。

 前置きが長くなったが、本題はここからである。アダルトビデオは時代とともにメディアや提供の形を変えつつ存続してきたわけだが、業界全体の売上は年々落ちる一方である。

 AVに限らず、この不況下においてはみんなの財布の紐が堅いというのもあるだろうし、そんな中で各メーカーはとりあえず目先の利益を上げるために冒険をしなくなり、斬新な作品が生まれづらいという面もあるかもしれない。

 だが、それだけなんだろうか? ここに裏動画サイトの存在が大きく影響しているように思えてならない。多くの方がご存じだと思うが、今やモザイクのない性行為の鮮明な映像がだれでも簡単に見られる時代なのだ。

 そういう裏動画サイトが存在することは、ずいぶん前から知ってはいたが、正直いうと僕はそれほど気にしていなかった。なぜならば、裏モノというのはこれまでもずっと存在していたし、でもいつの時代もそれはマイノリティであったからだ。モロ見えに関心を持っても、最終的にはしっかりした企画やテーマのある、要はちゃんとした作品づくりをしているものに人は戻ってくる。今にして思えば、僕はそんなふうに高をくくっていたのだった。

 ところが、じっくり裏動画サイトを見てみて驚いた。どの作品もカネをかけているし、女の子の質もいい。映像もきれいで、これではこっちのほうが主流と言われても仕方がないくらいだ。そして、それを見る側の感性も、ずいぶん変わってきたのかもしれないと思った。ちゃんとした作品づくりに人は戻ってくると書いたが、そういうものはまどろっこしく、もっと即物的な映像を求める人たちが増えているのかもしれないと。

 裏動画はアンダーグラウンドにひっそり咲いた徒花(あだばな)などではなく、多少頭打ちになっているとはいえ、もう消えることはない。僕は遅まきながらそう痛感した。

 そこで僕は自主規制機関に対して「なぜここまで野放し状態になっているのか?」と質問してみた。いろいろ話を聞いたところ、自主規制機関も警察に対して裏動画サイトの取り締まりを申し入れているけれども、警察側の回答を要約すると、「殺人サイトや出会い系、自殺、薬物、そっちのほうの取り締まりで手いっぱいで、猥褻(わいせつ)関連までは手が回らない」ということらしい。

 そんなバカな話はないだろうと僕は思った。日本は法治国家じゃなかったのか? それじゃあ、殺人事件や傷害事件が増えたら、窃盗は実質お咎めなしみたいな話ではないか。

 と同時に、そのとき僕の脳裏をよぎったのは、アダルトビデオ業界に以前から流れている、ある噂だった。それはオモテで自主規制して作品を出しているメーカーが、ウラでは海外にサーバーを置いて裏動画サイトを運営しているというものだ。そのメーカーは今はその運営をやめたという表向きの情報もある。ただ、噂の中には、海外にサーバーを置くという発想自体、法の目をかいくぐるために、警察の天下りが知恵をつけたという内容まで含まれていた。

 僕はその噂を鵜呑みにしているわけではないし、そうでないことを心から祈っている。だが、ビデ倫時代にも警察から天下りをした人物が巨額の使途不明金問題で自殺したという事実がある。天下りといえば、代々警察からの天下りで占めていたビデ倫事務局長の席が、なぜか摘発時には空白だったということもある。それに加えて、今回の警察側の取り締まりに関する回答を聞くと、ひょっとすると闇は深いのかもしれないと思わなくもない。

 自主規制機関やその審査団体において、ビデ倫の摘発以降、モザイク処理はいっそう厳格になっている。にもかかわらず、一方ではまったくモザイクの入っていない映像が平然と見られている現実。これでは審査している人たちも、何のために自分たちは毎日真剣に映像をチェックしているのかと思うのではないだろうか。

 しかもこのまま行けば、おそらく5年以内にオモテのAVメーカーの大半は潰れてしまうだろう。そうしたら、自主規制機関に審査を依頼するメーカーもなくなる。残っているのはみんな自主規制しない裏モノばかりなのだから。

 ここまで読んでくれた方の中には、オモテメーカーの代々木は裏動画サイトを駆逐したいんだろうと思う方もいるだろう。それは半分正しい。なぜ半分なのかといえば、ここで僕が言いたいのは、自主規制しているものが摘発され、規制なしのものが平然と存在していること自体がおかしいという点なのだ。

 モザイクの入ったAVを猥褻図画頒布の容疑で摘発しておきながら、性器モロ見えの動画サイトに対してはお咎めなしが今日まで続いているのは、いったいどうしてなのか? 30年以上の歴史を持つ自主規制機関、日本ビデオ倫理協会に向け崩壊への引き金をひいた警察は、この大矛盾に合理性を与える責任があると僕は思う。

 警察は、取り締まるなら公正に取り締まる、取り締まらないのなら解禁にすべきではないのか。ネットを見れば現実には解禁状態なのだから......。

 僕自身、性器を見せたらどうこうという時代はもう過ぎているようにも思う。しかし、解禁にするのならば、自主規制機関は要らないという話ではない。人権問題や虐待の問題、性暴力を誘発しかねない表現への指導など、審査機関にはよりいっそう高度な審査を請け負ってもらわなければと思っている。

 このブログを読んでくださっている方々は、この問題をどう考えられるだろうか? ついては、ディスカッションの場を近々設定してみたいと思う。詳細は、本ホームページ内で後日ご案内する予定である。ぜひ、みなさんのご意見を聞かせていただきたい。

テーマ : 日記
ジャンル : アダルト

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