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第67回 「いんパフォ」を支えた男優たち

 太賀麻郎が6月1日に『AV黄金時代』(イースト・プレス刊)という本を出すという。その本の巻末言を依頼されたので、麻郎が出ていた「いんらんパフォーマンス」を自宅でざっと見返してみた。

 「いんパフォ」は全部で50タイトル撮った。そこにはいろいろな男優が出演しているが、メインとなるラインは、速水健二→太賀麻郎→日比野達郎→加藤鷹→チョコボール向井。

 「いんパフォ」を撮りはじめた頃は、まだアダルトビデオの歴史も浅く、AV男優という職業が確立していない時代だった。ピンク映画の男優なら、野上正義、久保新二、松浦康といったベテランとのつきあいもあったが、彼らは基本的に本番をやらない。なぜなら、役者はあくまでも演技の積み重ねによってホンモノを超えていこうとしていたからだ。

 それに対して、アダルトビデオには本番がある。「いんパフォ」以前から僕の作品に出ていた速水健二も役者志望だったから、本番だけを見せることに心の中では逡巡があったかもしれない。

 それにひきかえ、太賀麻郎にはまったくそういう抵抗がなかった。僕にしてみたら初めてふれるタイプである。それまでの男優は、どこかの養成学校を出ているとか、ちょっとお芝居やっていたとか、そういう人たちだった。でも、麻郎は単なる不良だ。演技がどうこうではない。自分がドーンと出てきて、思ったままのことを口にし、そうかと思えば、気をつかうところはつかっている。

 そこには僕自身、男優に対する新たな発見があった。お芝居じゃなくて素が出てくるというのは面白いなぁと。こっちのほうが力があるよなぁと。そんな魅力を僕は麻郎に感じていた。


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 麻郎だけでなく、日比野達郎も、加藤鷹も、チョコボール向井も、「いんパフォ」を支えたのは、ヤンチャな男たちだった。彼らは世間に合わせた優等生ではない。ある意味、はみ出し者である。制度の世界では落ちこぼれかもしれないが、少なくとも自分を殺して生きてはいない。

 そんな彼らだったからこそ、僕は信頼ができた。ひと言でいえば、とてもわかりやすい。その点、優等生はわかりづらいのだ。本当の自分ではないし、そこに2重3重のバリアを張っているのだから。

 話が飛ぶが、「ザ・面接」はまさに男優が主役である。「ザ・面接」の撮影が始まる2時間以上前から、男優たちはアテナに来て雑談をする。べつにこれといった打ち合わせがあるわけでもないのだが、僕にとってはそのコミュニケーションの時間がとても重要である。

 彼らは前日まで別々の現場でそれぞれの仕事をしてきている。お互いバカ話をしつつも、彼らの体調や内面的なコンディションを、僕はそれとなく見ている。だが、雑談の意義はそれだけではない。

 「ザ・面接」では、隊長の市原克也とクジ引きで選ばれた男優2人が1人の女の子と向き合うわけだが、外れている他の男優たちも一体でなければ、見応えのある作品にはならないと思っている。いま何が起きているのかがわかり、ここで自分が何をすべきかを全員が理解するためには、お互いの波長が合わないとなかなか上手くいかないのである。2時間の雑談とは、この波長を合わせる作業でもある。

 「淫女隊」のときもそうだが、3人のメンバーには撮影前日に入ってもらった。カメラこそ回していないが、前夜に3人がレズまで行けば、あくる日は3人が1つの体のようになって動く。

 たまたま前日に入れない子がいて、コミュニケーションが取れないまま現場に入ると、やはりスムースに流れていかない。3人の中に遠慮やわだかまりがあったりすると、絶対に上手くいかないのである。

 だから、一晩の間にどれだけ自分をさらけ出せて、お互いを理解し合えるかが、大切なのだ。遠慮がなくなってくると、翌日、1人の男に3人が向かってもムダがない。お互いが何をしたいかがふっとわかる。だから、それぞれの位置に行く。顔のほうに行く女の子、下のほうに行く女の子、それを見ていて自分がオナニーを始めちゃう女の子......。僕が指示しなくても、そういうふうになるのである。

 話をもとに戻そう。僕は女の子より男優とのつきあいのほうが長い。「淫女隊」は別にして、女の子は作品ごとに入れ替わってゆく。そういう意味では、他の多くの作品とは逆なのかもしれない。特に単体ものでは、女の子を何カ月にもわたって拘束し、男優のほうを作品ごとに替えてゆく。

 たしかにアダルトビデオは、女の子の裸なりセックスが売りになっている。しかし、僕の作品をずっと支えてくれたのは、実は男優たちであり、これは忘れちゃいかんなぁとあらためて思うのである。

テーマ : 日記
ジャンル : アダルト

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